二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナイレ 魔法使い物語【お知らせ!】 ( No.919 )
日時: 2011/03/28 15:18
名前: 海穹 ◆EZarcElGGo (ID: UruhQZnK)

伝説の妖たち

第1話 「妖」


「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」
叫び声が聞こえる。人間の叫び声。下品な叫び声だこと。でもこんな状況では下品な叫び声しか出せないか。
その人間は追われているのだ。人間ではなく……

妖に。


「だっ誰か助けてぇ!!!」
必死の叫びが聞こえる。
じゃあ助けてあげましょう。

「お行き。」
私はそう呟いた。

「了解!!」
元気な声が聞こえる。

トテン トテン

軽い太鼓の音。

それを鳴らすは【雷小僧】雷を操る者。

軽いその音が聞こえた後に


ガシャァァァァァン!!!

響いたのは雷鳴。

「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
また五月蝿い下品な人間の叫び声。助けてあげているというのに叫び声を上げるとは変わった奴だ。

「ゆけっ雷!」
【雷小僧】がそう言うと雷が放たれ、その雷は人間を追う妖に当たった。

次に仕掛けるは【妖狐】
ひらりと空から人間の前に舞い降りる。
「狐火。」
ぼそりとそう呟く。
すると【妖狐】の掌に真っ赤な炎が灯った。それこそ狐火。狐の炎。
【妖狐】の掌の炎はふわりと宙を舞い、妖に当たった。妖はふらつき、苦しみ始める。

次は【鬼】

【鬼】は妖の後ろに回り込み、鬼火を灯す。
「鬼火、遊火。」
【鬼】が呟く。すると妖の周りにいくつかの火の玉が浮かんだ。これぞ鬼火。
鬼火は妖も周りをふわふわと漂う。そして勢いよく妖に当たった。

妖はついに力なく膝を折り、その場に倒れた。

「やったぞ!」
【雷小僧】の嬉しそうな声。
【妖狐】の後ろにいる人間は吃驚した顔をしている。まあ仕方あるまい。目の前にいるのは妖なのだから。

「何が……」
人間は小さな声を出す。驚いていて声が出ないのだろうな。
私はふわりと宙を舞い、地面にを足をつけた。

「人間。」
「え……?」
間抜けな顔をしている人間。何が起こっているのか分かってないな。
人間の手はカタカタと震えていた。恐ろしさのためか……
まあ何も問題はないさ。おまえは忘れる。この夜のことはおまえの頭から消え去るのだ。

「忘れよ。」
私は人間の額に触れ、そう呟いた。