二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 君が教えてくれたこと〜思い出というキーワード〜 ( No.10 )
- 日時: 2011/02/27 10:26
- 名前: 宇野沢千尋 ◆pcUHgqcj4Y (ID: 9MGH2cfM)
—心—
俺はその日の夜、泉孝介の事で眠れなかった。
そして、田島が言った、‘昔の雰囲気変わった,という言葉が、俺の頭の中を暴走した。
そして次の日の朝、
何故か、泉孝介が俺らの学校にいた。
転校してきたらしい。
「…あ…昨日のヤツじゃん」
水谷は昨日の事をまだ引きずっているせいか、泉孝介をきつく睨んだ。
泉孝介は、転校初日という事もあって、まだ友達もいない様子。
中間休みも一人ぼっちでいた。
俺は、田島と水谷と、席でいろいろ話していた。
…その時…。
一人で読書をする、泉孝介に、
黒い影が近づいていた。
「泉財閥の御坊ちゃまが、こんな事ろで何してんのー?」
如何にも意地悪そうな顔つきと、口調で迫ってきた男子3人組がいた。
それに対して、泉孝介は、無言。
その態度にキレた男子達は、
「おい!!!シカトすんなよ!!!」
と言って、泉孝介の胸倉をつかんだ。
「う゛っ」
泉孝介が、小柄に対して、男子らはみんなでかい。
泉孝介は苦しそうな顔をして、必死に殴ろうとしたが、腕を掴まれているため出来ない状態だった。
「なぁ、アレヤバくねぇ?」
田島が小声で言った。
その時俺は、
自然と体が動いて、泉孝介を助けに行った。
「ちょ…何してんの!」
俺は、泉孝介の胸倉を掴んでいる、ボス的存在の男子の腕を振りほどいて言った。
「だ…だってよーコイツ、調子乗ってるから。何財閥だが知らないけど、えらい振りしてんじゃん!しかもコイツ、シカトしたんだぜ」
意地悪男子のボスは、大声で言った。
それに対して俺は、
「だからって、やっていい事と悪い事がある!それの区別も出来ないの!?」
と言った。
なんか自然と、体と口が動いたんだよな。
この時の俺。
俺の言葉に対して、頭にきたボスは、
思いっきり俺の顔面に拳をぶつけてきた。
その時俺は、一瞬何があったのか分からなくなり、
そのまま気を失ってしまった。
その後の事はよく覚えていないが、
田島と水谷が先生に伝えて、
俺を保健室まで運んでくれたらしい。
男子3人は、強烈に先生に怒られたそうだ。
目を覚ました俺に、
一番最初に目に入った物が、クリーム色をした天井だった。
その時、自分が生きているんだという事を確信した。
「…俺のせいで…ごめん…」
ベットの横には、体育座りをして泣きじゃくる泉孝介。
こうやってみると、やっぱり小柄な人だ。
こんな小柄で、大柄の3人相手に勝てるはずもない。
俺も、小柄なほうだけど、
やっぱり勝てなかった。
そして、泉孝介は、小さい声で語り始めた。
「俺、今までずっと家にいたから、友達なんて一人もいないんだ」
《え…!?》
「だから、人とどう接したらいいか分かんなくて、本当にごめん」
泉孝介は、顔を下にして言った。
俺は、その姿に、胸が締め付けるような思いだった。
《辛かったんだね…》
「ねぇ…だったら…俺と友達になってくれる?」
俺は、痺れる頬を押さえながら言った。
泉孝介は、びっくりしたのか、驚いた顔を口を開かなかった。
そして俺はまた、
「もしよかったら、俺と友達になって下さい」
と丁寧な口調で手を伸ばした。
すると…
「…はい。」
泉孝介は、顔を赤らめて、俺の手をぎゅっと握った。
その時、
「いいな、いいな〜!勇人だけ〜!!!」
田島がそう言って保健室にやってきたのだ。
「なー俺達も友達になろうぜ!!!孝介!!!」
「いいねいいね!呼び捨て!!!んじゃ、俺も孝介って呼ぼうかな」
泉は、初めての友達に驚いていた様子。
でも、本当は嬉しくて嬉しくてたまらなかったそうだ。
「…俺だけ仲間外れにしないで〜!!」
後からついてきた水谷もやってきた。
その時、やっと泉が口を開いてこう言った、
「水谷…昨日はごめん。」
泉が水谷に謝ったのだ。
「あ、いいよいいよ!べつ大丈夫だから〜」
と水谷は、手を開いて、言った。
「それと…俺と友達になってくれ」
泉は勇気を出して、自分から言った。
「お…おぉう!!!よろしくな、孝介!!!」
水谷は、そう言い、泉と握手を交わした。
この時、俺達4人の心が一つになったような気がした。
この日は、初めて泉に友達ができた記念日になった。
そして…
俺達の絆はここからスタートしたのだった。