二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 君が教えてくれたこと〜思い出というキーワード〜 ( No.7 )
- 日時: 2011/01/23 13:51
- 名前: 宇野沢千尋 ◆pcUHgqcj4Y (ID: 9MGH2cfM)
—天才音楽少年の素顔—
「うわーかっこいい人だったなー」
皆は再び顔をあげて、そう声をあげた。
—————。
体育館に着いた俺達は、決まった席に座った。
俺はちょうど、田島と隣同士だった。
「さっきの人、‘泉財閥,の子供らしいよ」
俺は田島に話しかけると、
「‘泉財閥,って、なんだ?」
と、聞かれた。
その頃の俺は、財閥という2文字の言葉が難しくてよく分かんなかったけど、‘えらい人,と答えた。
田島との会話に夢中になっていると、
天井の電気がだんだんと薄く消えていった。
そろそろ始まるんだなーっと心で準備した。
すると、一人の少年が、バイオリンを持った状態でステージに現れた。
「まさか、あの子が演奏するんじゃないよね」
その少年は、肩と顎にバイオリンを挟んで、演奏し始めた。
その途端、周りはざわめき始めた。
「あんな小さな子が、バイオリンを!!!」
「なんて素敵なのかしら」
「あれは、まさに、天才…天才音楽少年だ!!」
大人たちの歓声は、壮大だった。
少年の茶色い髪の毛は、メロディーと共に靡く。
そのメロディーは、
いつも賑やかな田島も、大人しくなるほどのものだった。
俺も、そのメロディーに魅かれていった。
少年の演奏が終わると、一斉に拍手が鳴った。
俺達も夢中で拍手した。
拍手は一向になりやまないくらいだった。
「…僕、アノ人の事、知りたい!!!」
俺は、夢中になって、駆けだした。
「え、ちょ、俺も行く—」
田島も俺について来てくれた。
夢中に走っていた俺は、頭の中があの音楽で一杯だった。
…その時。
《ドンッ》
俺は人とぶつかってしまった。
しかもその相手は、………。
「い…いってぇ…」
その声に、俺は相手を見ると、
その相手は、あの、泉財閥のあととりだった。
俺は慌てて、
「あ…あああああ…ごめんなさい…」
と言った。
「こっちこそ、ごめんね。俺急いでるから、ばいばい」
泉財閥のあととりは、そう言って走って行ってしまった。
「やっぱり、…カッコいい奴だ」
俺達2人は声をそろえていった。
結局その日は、天才音楽少年に会えず、次の日小学校に行った。
《キーンコーンカ—ンコーン》
学校のチャイムと共に、1日が始まった。
「気をつけ。礼。」
「おはようございます!」
当番の人がそう言い、朝の会がスタートするのはいつもの事。
でも、今日は少し違った。
「…今日は、新しい友達を紹介するぞー」
先生がそう言って、
教室のドアからやってきたのは、茶色いサラサラした髪の毛に、たれ目のあの、天才音楽少年だった。
俺は思わず、
「て…天才音楽少年だ—————!!!」
と大声で言った。
クラスの皆は、俺を見て笑った。
あの時の俺は、本当に恥ずかしくて、顔が真っ赤になっていたらしい。
すると、天才音楽少年は、
「何…俺の事…知ってるの?」
と口を開いた。
初めて聞いた、天才音楽少年の声は、想像とは全く違った。
何っていうか…イメージとしては、爽やかだったんだけどなぁ…。
俺と、天才音楽少年が盛り上がって話をしていると、
先生はその間に入ってきて、
「盛り上がってるところごめんなー、話は後でにしてくれ。今は自己紹介だ。‘水谷,名前と簡単に自己紹介」
「はい!」
その天才音楽少年は、勢いよく腹から声を出した。
「‘水谷文貴,小学1年生です!好きな食べ物は、基本甘いものなら何でも好きだけど、特に好きなのはケーキ!!!」
水谷文貴と名乗った天才音楽少年は、昨日とは全然違う様子。
あんな爽やかに演奏していた人が、こんな素顔を持っていたなんて…。
そして、また、ここから始まるのだった。