二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 君が教えてくれたこと〜思い出というキーワード〜 ( No.8 )
- 日時: 2011/02/27 10:27
- 名前: 宇野沢千尋 ◆pcUHgqcj4Y (ID: 9MGH2cfM)
—第4章—『友達』
—クラス替え—
小学1年生だった俺は、‘田島,と‘水谷,と一緒に、どんどん成長していって、あっという間に、小学6年生の春を迎えようとしていた時だった。
俺が通っていたこの小学校では、小学6年になると、クラス替えという悪の組織があった。
その頃の春休み、俺は、せっかく仲良くなった友達や、田島、水谷たちと離れ離れになってしまうという恐怖感が多く、体調を壊す事が多かった。
その度、同じ家に住んでいる田島が、心配してくれたり、水谷が家に来てくれる事が多くあった。
「おーい、大丈夫かー?」
そうやって水谷はやって来てくれる。
そして、いつものように、
「俺の新作、聞いてくれよ」
と言って、フルートを手にし、綺麗なメロディーを響かせてくれるのだった。
田島と、水谷から元気を貰って、そしてこの日、クラス替えの発表の日だった。
緊張していた俺は、朝からお腹を壊し、トイレからなかなか出てこれなかった。
心配されながらも、ようやく学校へと向かった。もちろん、3人一緒に。
「あー!!!俺ら、また一緒になるといいよなー」
余裕そうにそう言う田島が羨ましかった。
学校に近くなるたび、俺の心臓は壊れそうなくらいバクバクいっていた。もう、しゃべる気にもなれなかった。
その異変に気付いたのか、水谷は、
「大丈夫だよー、俺ら、絶対一緒のクラスになるってー!別れちゃったとしても、同じ学校なんだから、いつでも会えるし、遊びに行くよ」
と、元気づけてくれるのだった。
そして、見えてきた学校の校門。
校門の前には、クラス発表を見る為に賑わっていた。
喜んでいる人もいたそうだが、俺には、仲良しの友達同士が、別々になって悲しんでいる顔しか目に入らなかった。
それを見るたび、胸がズキズキしてたまらなかった。
「俺、見てこよーっとー!!!」
大きくジャンプしながら、田島はクラス表を確認しに向かった。
「どーだった?」
「俺、3組ー」
「俺のは何組だった!?」
「見えねー」
「ハッ!!!ちょ、悠一郎身長小さいな…」
「しょーがねーじゃん、俺だもん」
「んじゃー自分で見てくるからいいよー」
田島と水谷の会話が耳に響く。
『何でそんなに余裕なんだよ…。俺は、心臓が爆発しそうなくらい緊張しているのに…。‘俺だけ別のクラス,は嫌だよ……。』
俺は、心の中で、そう思っていた…。
すると…
「やったぜー!俺も悠一郎と同じ3組だー!!!」
と、叫び喜ぶ水谷の声。
「まじかよー!!!またヨロシクなー文貴!!!」
その時、俺の心にはある言葉突き刺さった。
‘俺だけ別のクラス,
俺は、その瞬間目の前が真っ暗になった。
俺だけ…
俺だけ…
俺だけ…。
どん底に落ちたような気分だった。
その時だった、
「俺ら‘3人,同じクラスになるなんて奇跡じゃねー?」
と水谷が言った。
‘3人,という言葉に疑問を持った俺は、
「3人…って…?」
と、恐る恐る聞いた。
すると、水谷は笑顔で、
「え?俺と、悠一郎と勇人だけど…他に誰かいるー?」
と言った。
『俺は…別のクラスじゃなかったんだ!!!』
今までどん底にいたような気分だった俺は、水谷のその言葉によって、天に昇ったような気分に変わった。
「…よかった〜!!!」
その途端、俺は大声で喜んだ。
その様子に、田島と水谷は、一緒に喜んでくれた。
「やったな、勇人〜」
「一緒のクラスになれたぜ!これからもよろしくなー」
2人の言葉、そして、2人の優しさに、
また俺は一歩2人との距離が縮まったような気がした。