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　　　*第一話*　　ここが花風村！　前篇


　　ブロロロロロロロ—————…

　車を運転している音が聞こえる。

「ねぇ、まだ花風村に着かないの!?もう予定ならとっくの昔に着いてる筈なのに・・・。」

　桃色の大きな鞄を膝に乗せている少女が言った

「仕方ねえっぺ、昨日の夜からの大雨で視界がかなり悪くなってるっぺ、ところで嬢ちゃん、名前は何っぺか?」
　
　運転をしながら、タクシードライバー、カッペイが言った。

“ちゅり”と少女は小さな声で言った。

「でもよ、どうして花風村が良いんだべ?他にも良い村は沢山有ったのに…」

カッペイはちゅりに問い続ける。

「………だって花風村には沢山の綺麗な花が有るって聞いたから………」

ちゅりはぼそぼそと答えた。

「そうか、だから花風村が良かったんかべ、でも先立つ物はちゃんと持ってるっぺ?」

カッペイはいまだ問い続ける。

「えっと……、少しぐらいはお金も持ってる………」

　ちゅりは答えた。

「そか、じゃあ後でタクシー代ぐらい払えよ?なーんて嘘だ、別に払わなくてもいいっぺ、お!そろそろ花風村に着くぞ!それじゃ…、元気でな」

カッペイは声の様子から見ると、少し涙ぐんでるようだ。

いつかの雨も上がり、空には綺麗な七色の虹が架かっていた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　*続く*