二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナイレ 闇染まり〜吹雪の闇〜 ( No.226 )
日時: 2011/04/01 10:05
名前: 吹雪 (ID: nvLkUcGh)



『38』 無視界の恐怖




 「さあ、試合やろうぜ!」

 そう言い切ると、身を低くしてオーバーラップしてくる。
 
 「たとえ雨が降ったとしても君1人じゃ無理だ!」

 ヒロトはアイラの正面に立ち、いく道をふさぐ。雨は収まることを知らないように降り続ける。さらにゴウゴウと風もふいてくる。
 くっ雨で視界が悪いうえ、風までも・・

 「雨ぐらいは平気じゃなかったのか?」

 ヒロトが顔を上げると、前にはアイラの姿はなく、後ろにボールをキープしている姿がめに入った。

 「!!」
 「次々いくぜぇ!」

 ゴールのほうに向き直ると、また攻めていく。水煙と風や雨のせいで視界が悪く、また雨のせいで足をフィールドに取られ、うまく防げず、次々とアイラは彼らを抜かしていった。


 「どうしたどうした?こんなんじゃひとりでゴールまでいっちまうぜ?」
 「そんなことは・・・」
 「絶対にさせない」

 飛鷹と小暮はアイラに横からスライディングを繰り出した。
 その姿を目にした不動と鬼道はある予感が頭によぎっていた。鬼道はとっさに叫んだ。

 「気をつけろ二人とも!」

 「うおおお!」
 「おつかれさま」

 平常にそういうと、水煙に覆われたアイラは彼らの視界から消えていた。いや、見えなくなった。

 「え?」
 「なっ」

 スライディングをした二人はそのままぶつかっていった。

 「ぐっ」
 「うわっ」

 どしゃぁあ

 アイラは二人がぶつかる音を背に聞きながら、目の前に居る円堂を見据えた。円堂からは水煙でアイラの姿は見えなくなっている。
 そのときまた、雷がなり、ゴウゴウとうなる風がフィールドを駆け巡っていった。

 「これじゃあ嵐ですよ」
 「ベンチにいるわたし達もこうなら、コートはもっと・・」
 「こっちからじゃなんもみえねぇぞ!」
 「いま、ボールはどこにあるの?」

 ベンチに再び強烈な風が吹き、マネージャーたちは悲鳴を上げる。

 『フィールド上は風と雨でつつまれており、まったくわたし達からはプレーヤーの人も確認できません』

 
 どしゃあああ!!ドシッ!!


 「!?何の音?」

 風で乱れる、髪を押さえながら冬花はフィールド上に目を凝らす。

 『今、何か音がしましたね』
 
 実況も感じたようだ。

 「あっちのほうから聞こえてきましたよ」
 「あっちって・・円堂くんのほうじゃない?」
 「守くん・・・」
 「あれ?なんか、風収まってきてねぇか?」

 ゆっくりとではあるが、風が収まり、雨を小降りになった感じがする。フィールドも少し、見え始めている。

 『おや、少しずつではありますが、風が収まってフィールドが見えてきました。』

 全体が見え始めると、秋は真っ先にゴールネットを見た。
 
 「円堂君・・・」

 そこにはゴール前に立っているアイラ。円堂はゴール前に倒れ、ゴールにはボールが入っていた。

 「ボール、入ってますよ・・・」

 恐る恐る音無がボールを指した。

 『ゴールしております!ゴールです。』

 フィールド上にいた審判はシュートを見たという合図をしている。

 『後半3分、これで6対0となりました。!!』