二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナイレ 闇染まり〜吹雪の闇〜 ( No.247 )
- 日時: 2011/04/07 15:36
- 名前: 吹雪 (ID: nvLkUcGh)
- 参照: http://FFIが終わったら旧メンバーで小説は続けられるのか?
『41』 レインコール
ピッシャン ドォォオオン!
「この雨が降る理由を教えてやろうか?」
ベンチにいた木野たちが声を方へ向くとそこにアメザントの選手がいた。スフィンとかいう少年だ。
「君はアメザントの選手じゃないですか・・」
雨でぬれている眼鏡でめがねがスフィンをにらむ。秋はスフィンに問い、続いて音無が問う。
「雨が降る理由ってどういうこと?」
「これは必殺技なんでしょうか?」
スフィンは違うと否定した。
「これは、天気。アイラの技じゃないさ。もしアイラの技だったら、みんなベンチに下がらないよ」
ピッシャン ドォォォオン
「きゃあ!」
マネージャたちが雷に悲鳴を上げるさなか、スフィンはベンチの隅で震えている吹雪の姿を無表情で見つめていた。そして話を続ける。
「アイラは嵐を呼ぶ男なのさ」
「嵐を?」
冬花は首をかしげる。
「そう。エジプトは昔から乾燥地帯でね、雨が降ることが少なかった。だから、川の近くに村を作った。だがそれでも水が足りなくて作物が育たない。なんとしても雨を降らせなくてはいけない。そこで昔の人の中で雨を降らす男に神に祈ってもらったのさ」
木野たちは黙って話しに聞き入る。
「するとどうだい、空が曇ってきて雨が降ってきた。雨だけじゃない、風が吹き荒れ、雷もなる。もう嵐さ。だが、人々は喜んだ。しだいに雨を降らすため、その男に何度も頼むようになった。祈っても降らないときは暴力までふるって。
その男はいつしか天気を操る存在となった。皆は尊敬をこめて呼んだ。『レインコール』と。日本でいうと、昔の巫女みたいなもの。だが、雨男とは違う。意識的に嵐をよぶんだからな。」
スフィンは言葉を切ると、見えないフィールドを見つめた。
「アイラはそのレインコールの子孫だといわれている。」
スフィンは視線を木野たちに戻す。
「それがこの嵐の正体だよ。」
「そんなことありえるかよ」
小暮はふんっとスフィンをにらむ。
「信じるか信じないかは勝手だか、俺も信じてなかった。でも、あいつが出るたび、嵐が来るとレインコールなんじゃないかって信じちまう。」
ピッシャン ドォォオオン!
「うあああ!! はぁっはぁっ」
「吹雪くん?」
円堂はゴウゴウと降る雨の中、アイラの姿を発見した。試合再開からわずかな時間でここまでたどりつく。
円堂はぐっと手の平をアイラを向けた。
「こい!アイラ!」