二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナイレ 闇染まり〜吹雪の闇〜 ( No.263 )
日時: 2011/04/23 14:36
名前: 吹雪 (ID: nvLkUcGh)



『46』

 


 ゴウゴウと吹く風。
 ザアアアと絶え間なく降りつづける雨の音。

 吹雪はじっとフィールドを見つめていた。
 そして考えていた。
 今、僕に出来ること・・・・

 飛鷹君が言ったように僕が試合にでて皆を救えるのだろうか?
 足手まといではないのだろうか。


 「ぐあっ」
 「うああっ」
 
 どしゃあ・・・


 見えないフィールドの中からみんなの声が聞こえる。苦しそうなつらそうなそんな声だ。

 
 皆はつらい思いをしている。




 僕はみんなを救いたい。





 僕に出きるのだろうか。





 こんな僕に何かできるのだろうか?


 

 
 
 ≪吹雪、グラウンドに出てほしい。そしてメンバーを救ってくれ≫


 飛鷹の声がよみがえる。
 飛鷹のほうを見ると飛鷹はフィールドのほうを見つめている。
 


僕にもやれるだろうか?
 でもやれるなら力になりたい!!



 ぐっと拳を握った。そして立ち上がって久遠監督のもとへ行く。
 みんなが自分に目線がいっているのがわかる。


 「久遠監督」



 久遠は吹雪のほうをみる。
 吹雪の表情にもう迷いや不安はなかった。
 たとえどんなことがあろうと僕だって進む。
 あのジェネシス戦でも決めたことだ!


 「僕も戦います。試合に出してください」
 「いいだろう」


 久遠は即答した。
 木野たちも久遠たちを見上げている。

 「吹雪くん・・・・」

 秋は心配や嬉しさなどが交じり合った表情を浮かべていた。
 その横でベンチメンバーが言葉もなく微笑んでいた。




 
 「ん?」

 アイラはシュート体制をくずす。
 そして風の壁の向こうにあるイナズマジャパンベンチを見つめた。

 「え?」

 構えていた円堂は手を下ろす。
 そしてアイラと同じ場所を見つめるがただ風の壁があるばかりだ。
 
 アイラはふっと笑うと手で空を切る。すると雨が弱まってく。そしてボールをラインの外へと蹴った。



 ぴっ審判の鳴らす笛がなる。

 
 フィールドにいた者もベンチにいたものも顔をあげる。
 円堂はゴール前で拍子抜けしている。


 『おっとミスでしょうか?ボールがラインを超えました。』


 
 アイラは審判に手を振る。

 「俺が出しました。」


 
 「どうやら、相手チームのミスキックのようですね」

 めがねがいう。

 
 「選手をいれます。吹雪士郎をフィールドプレーヤーに」

 久遠は審判に合図を送る。


 「吹雪・・・」

 入ってきた吹雪に円堂は呼びかける。

 二人の目線があう。
 だが二人とも何もいわない。
 頼んだぞ
 円堂は吹雪に見つめる。
 うん、
 吹雪も円堂を見つめる。

 二人はそれぞれのポジションについた。


 ピィーと笛が鳴るとまたしてもフィールドに嵐が襲った。
 だが、雷はなってはいない。
 雨と風だけだ。豪炎寺が投げ込んだボールでスタートする。

 「すごい風だ。吹き飛ばされそうだ」

 吹雪は腕で顔を覆う。

 「そうだろう?」

 声が聞こえたかと思うとアイラはボールとともに吹雪の横を通っていった。いつのまにいたのか。

 「!!」
 「お前の力、あとで見せてもらう」

 にやりと笑ったアイラに吹雪はぞくっと恐ろしいものを感じた。
 あの時とは違う。

 


 アイラはゴール前に立った。
 そしてシュートの構えをする。
 円堂に威圧をかけるようにアイラは円堂をにらみ続けている。


 「レザント・ストリューマ!!」

 アイラは必殺技の名を言うとシュートを打つ。
 そのシュートは雨を突き抜けて円堂に襲ってくる。

 「これで最後だ!」

 アイラはぐっと拳を握る。
 さっきのシュート、入ったがボールの勢いは確実に弱められていた。
 このシュートはとめられるのは円堂の必殺技の完成度にかかっている。アイラはそう気づいていた。

 「・・・・」
 
 円堂はゆっくりとボールを見据えた。
 一方の円堂も自分の新しい必殺技のイメージがぼんやりとではあるが見えていた。アイラのシュートをイジゲン・ザ・ハンドでは止められない。イジゲン・ザ・ハンドだけでは。
 何かはつかんだ。あとはそれを形にするんだ!

 「はぁぁああ!」

 円堂は右手に力をこめる。そして同時に左手にも力をこめる。
 
 「イジゲン・ザ・ハンドォ!!」

 右手をたたきつけエネルギーの壁をつくる。だが、まだアイラのシュートは壁に達しては居ない。

 「左手・・だと・・」

 アイラは雨の中、円堂の必殺技を見つめていた。
 円堂が作ったエネルギーの壁の前には左手の正義の鉄拳のようなものがあり、アイラをシュートを止めている。
 
 フンとアイラは嘲笑した。あれぐらいの力で止められるはずがない。

 アイラの予想通りアイラのシュートは拳を突き抜けていった。
 そしてエネルギーの壁へぶつかっていった。
 
 「!!」

 エネルギーの壁にぶつかったとき、アイラの表情が変わった。
 驚いた表情をしているのだ。

 「壁?」
 「ぐぐぐぐ・・」
 
 円堂地面にたたきつけられた拳に力をこめた。さっきよりもエネルギーの壁の威力が上がる。

 「ふっ・・・」

 アイラは笑った。だがその笑いは勝利を確信した笑いではなかった。
 あきらめに近い笑い、そしてそうか、と理解したような笑いだった。

 そのときアイラが放ったシュートのボールはだんだん回転力が弱まっていった。
 雨がやんでいく。風がつむじ風のようにアイラと円堂の間を通り抜けてく。



 「雨がやんでいくわ」

 秋はフィールドを見上げた。
 ベンチにいるものはだんだんはれていくフィールドを見つめた。

 
 「どういうことだ!?」

 豪炎寺も周りの不審さに気づいていた。雨がやみ、暖かい風がフィールド内を舞っていた。これはアイラの風じゃない。
 
 「まさか・・・」

 リブスがこわばった表情で相手ゴールを見つめる。
 

 皆の目線はゴールに注がれてた。
 そこにはボールをしっかりと手で握っている円堂。そして立ちつくすアイラの姿があった。

 オオオオォォと会場内から完成が沸く。

 『イナズマジャパン、ついにアイラのシュートを止めました!!』