二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: デュラララ!!オリ小説  ( No.12 )
日時: 2011/02/05 13:37
名前: 五十嵐 ◆geiwiq3Neg (ID: ADUOsQyB)
参照: 椎羅⇔五十嵐








「あれ、道間違えたですか?おっかしーなぁ、この辺りだと思うんですけどねー」


池袋のとある繁華街、忙しなく辺りを見渡して首をかしげる青年が一人。
それは、先ほどまで雅と一緒にいたあの青年…不知火智弥だった。
智弥は先ほど見かけたバーテン服の男の下へ引き返してやってきたのだが、
もうすでにその男の姿は無かった。ただ、自動販売機が横たわっているのが気にかかったが。

「んー…残念です、折角来たのに意味無かったです、ハイ。
 でも諦めないです、まだ聞きこみという手が残ってる訳でありまして————」


「…へぇ、あいつの事嗅ぎまわるなんて…君、相当変わってるね」


と———
本当に不意の出来事だった、倒れている自動販売機の前にかがみ込んでいた智弥の背後から、
楽しそうに笑うそんな声が聞こえたのは。

「…誰ですか?黒のニーサン」
智弥はやや機嫌悪そうにその人物に尋ね返した。
だが、その人物は自分から名乗る事無く、
「まず人に名前を尋ねる時は自分から、何て教わらなかったのかい?」
なんて智弥に言い返した。
言葉のキャッチボールができてないなぁと、智弥は思いつつも、自動販売機を持ち上げようとしながら言う。

「面倒くさい人ですねー………僕は不知火 智弥です、ハイ。
 ピチピチの高校生ですけど、真面目とは言い難いです。ついでに言うとここに越して来たばかりなのです。
 …ハイ終わり。コレ以上は見ず知らずの貴方に教える義理も無いかと。


 で、次は貴方…と言いたいところですが、今貴方に興味は無いのでまたの機会に」


早口で、一気にそう言い終えると、智弥は手持ちのメモ帳に何か自動販売機を見ながらメモを取っていた。
…自答販売機を持ち上げようとしていたが、やはりピクリとも動かなかった様子て、
“自動販売機は持ち上げられない”と、極々当たり前な事を書き綴っていた。

「…………ん?」
だが、ある事を思い出すと、智弥はその手をぴたりと止めた。

「…、前言撤回です、10秒以内にさっきの事は忘れてくださいです。
 貴方確か、さっきバーテンの人と絡んでた人…で間違いないですね、ハイ」

「…そうだって言ったら?」
「問答無用で僕の質問に答えてもらいます覚悟してください」

智弥はようやく初めてその人物に向き直った。
獲物に狙いを定めた鷹の様な鋭い眼つきで、相手を見据える。
するとその人物はさっきまでの話とはまた別の話をきり出してきた。


「んー…君さ、単刀直入に聞くけど、“JACK”って知ってるだろ?」


ピタりと…また智弥の手の動きが止まった。
だが、またゆっくりと何事も無かったかのように動き始め————

「今、興味ある事以外はどうでもいいです」

平然とした様子でそうその男に吐き捨てた。
すると一瞬、ほんの一瞬だけその男は笑った。
そして気が済んだのか、この言葉を聞くと、彼は智弥の側から離れる。
智弥は特に気にも留めなかったが、その男は振り返り一言。


「…また君とは会う気がする。じゃあ‘またね’、不知火 智弥君」


そう言って今度こそ姿を消していった。
そしてその言葉を聞いた智弥は、
「…」
いつもになく真剣な顔をして、こう呟いた。


「…僕は基本的に“僕の邪魔をしようとする”輩はキライです」