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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【二世の契り】 ( No.5 )
- 日時: 2011/01/31 19:44
- 名前: 紫翼 (ID: DYIx383H)
- 参照: http://www.otomate.jp/nise/
序章
「ふう・・・遅くなっちまったな。」
暁月が伸びをしながらつぶやく。
彼ら──軒猿衆の五人は暗い森の中を歩いていた。
遠くの村まで、任務で出かけていたのだ。
森の出口付近にある祠の前まで差し掛かったとき、突然秋夜が足を止めた。
「どうしたんですか、秋夜?」
「血の匂いがする・・・」
秋夜は顔をしかめた。
雲に隠れていた月が顔をだした時、雅刀が何かを見つけた。
「お・・・おい、あれっ・・・!」
彼の視線の先にあったのは、月に照らされ、血に染まった祠だった。
祠の近くに、何かがある。
その正体に気づいた瑠璃丸が叫んだ。
「人だ!人が倒れてる!!」
五人が人に駆け寄る。
倒れていたのは、白い髪が特徴的な十六、七ぐらいの少女。
肩と腹は無残にも引き裂かれ、赤黒い血が噴き出している。
少女の口元に手を当てていた翠炎は薬師である秋夜に尋ねた。
「息はしていますが・・・この傷で助かりますか?」
その問いに彼は首を横に振る。
「これだけ深ければ、もう手遅れ・・・・・・ん?」
「どうしたんですか?」
何かに気づいた秋夜が驚いたように目を見開く。
「この傷、少なくとも数刻は前のもの・・・何故・・・?」
その言葉の意味がわからなかった瑠璃丸が、首を傾げる。
「どういうこと?」
「これだけ傷が深く、さらに数刻も前のものだと、もうとっくにこいつは死んでいる・・・」
「・・・え?」
場の空気が一瞬にして凍りつく。
一番冷静なのは、翠炎だった。
「この子を運びましょう。・・・まだ助かるかも知れません。」
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