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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【二世の契り】 ( No.9 )
- 日時: 2011/02/01 19:26
- 名前: 紫翼 (ID: DYIx383H)
- 参照: http://www.otomate.jp/nise/
第一章 「白銀の狼」
チチ・・・と鳥の鳴く声で、少女は目を覚ました。
赤髪の男がこちらに背を向け、外を眺めている。
少女は起き上がろうとしたが、腹に激痛が走り小さくうめき声をもらす。
それに気づいたのか、男がこちらを向いた。
「起きた!!
おい、無理しないで寝てろよ、秋夜呼んでくるから!!」
それだけ言うと、ひどく慌てた様子で走って行ってしまう。
──ここは何処だろうか?
見た感じ人間の家。
自分の置かれている状況からして、恐らくあの人物は自分を助けてくれたのだろう。
だが、何故こんな所に・・・?
傷の為か、頭が回らない。
しばらくして、先ほどの男が他に数人連れて戻ってきた。
その中で紫色の髪をした人物が私に具合を尋ねた。
「傷はどうだ?」
「まだ痛みます。」
「他には?」
「軽いめまいが・・・」
そのほかにも幾つか質問したあと、その人は他の男達に「峠は越えた」と伝えた。
それを聞いて皆安堵のため息をついている。
よほど心配をかけていたようだ。
「三日も意識が戻らないので、もう助からないのかと思いましたよ。」
「・・・三日・・・?」
瞬間、全ての記憶が蘇ってきた。
あの夜、祠の前で四つの影と対峙したこと。
影に襲われ、流れていく血と共に「死」を感じたこと。
そして・・・
「あの・・・私の他に何人か人が倒れていませんでしたか?」
「他に?倒れていませんでしたが・・・」
「そうですか・・・。」
あの時、仲間が何人か共に戦っていた。
その死体が無かったなら・・・彼らは生きているのだろうか?
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