二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第弐章 —燃え盛る炎と完璧なる氷と— ( No.24 )
日時: 2011/02/13 13:47
名前: 蒼月白星鏡 (ID: khxqjExY)

第四話(其の弐)『出会い—そして歯車は狂いだす—』



「…え?」

行き成り過ぎて分からなかったが、落ち着いて整理することにした。

まず1つ。彼が鬼瓦刑事が言っていた"土方雷電"という人物だ。
そしてもう1つ。それは自ら言った。

「…何故、そんな陽気に受け入れるんだ?」

陽気に受けいられるのが当たり前かもしれない。
でも、今の豪炎寺は陽気に迎えて欲しくなかった。
そんな気分じゃない、ただそれだけの理由で。

「ん?ああ、わりぃわりぃ!癖っていうかなんていうか…
 俺は知り合いとかは全員"家族"だと思っているかな…… 悪かったな。」
「…大丈夫だ」


既に家族の一員として迎えられるとは思ってもいなかった。
家族思いなのだろう。だから、こんな陽気でいられるのだろう、と豪炎寺は羨ましく思った。

「俺は畑仕事で忙しいんだ。早速だが、俺の"弟達"の面倒を見守ってくれないか?」
「構わない… …?」

此処で一つ疑問が浮かぶ。
大人の筈なのにこんな小さな子を弟達と呼ぶ。
もしかして…、と豪炎寺は思い、質問した。

「…お前、大人じゃないのか?」
「え?そうだぜ?それがどうかしたのか??」
「…幾つだ?」
「14。お前と同い年だぜ!」
「(こんな奴が中二…?!あり得ないだろ…)」

そう思うのも無理は無い。体が大きく、背が高い相手が大人に思えない筈がない。
こんな奴がいるのか、とまた一人納得していた。

「お前ら、しっかり豪炎寺の言う事聞くんだぞ!」
「はーい!」

土方の弟達は、返事をするとすぐさま家の中へ入っていった。

「…お前のこと、何と呼べばいい?」
「俺か?何でもいいぜ!お前が好きなように呼んでくれればいいさ。」
「じゃあ、土方。 …でいいか?」
「だから何でもいいって言ってんだろ?」

笑いながら言うと、土方は裏の畑へと向かって行った。

























「(さて、どうしようかな…)」

妹の夕香の面倒を見ている為、子供への対処は出来る。
とはいえ、人間好き嫌いが分かれるのは当然だ。

「…何がしたいんだ?」

とりあえず、聞いてみた。

「んー… サッカーがしたい!」

核心を突かれた。
自分だってサッカーがしたい。でも、仲間を裏切った自分にやる価値などあるのだろうか?
悩んでいた時に言われたその言葉。
正直に言えば、やりたくなかった。
でも、輝く瞳を見ると、断ることなんて出来ない。

「…わかった。」

躊躇いながらも、返事をした。





なるべく人に見られるのは避ける為、土方の家の敷地内でやることにした。
サッカーといっても、お互いにパスするだけだが、豪炎寺はだんだん心が安らいでいった。

「そろそろ飽きてきたか?」
「うん… そうだ!"イナズマイレブン"見たい!!」
「!」

これまた核心。
先程のよりもズシリと重く就いた。

自分が裏切った仲間の勇姿を見る。

見れるのは嬉しかった。

でも、どこかで、

いや、自分自身が、

躊躇していた。


















「(このチャンネルだったっけ…)」

自分の記憶を探りながら、リモコンのボタンを押す。
記憶が正しかったのか、一度目で当たった様だ。



イナズマイレブンが戦っているのは北海道。
円堂の、イナズマイレブンの勇姿をただ遠く離れたところで見る。
見れるのは嬉しかったものの、やはり悔しい気持ちの方が上だった。

「(そういえば、円堂達のスピードが上がっている…)」

つい最近まで一緒にいたから、分かるのは当然だろう。しかし、驚いたのはスピードではなく一人の人物だった。











「もしかして…『吹雪士朗』…?」











豪炎寺が見たのは、『完璧』という存在だった。