二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第弐章 —燃え盛る炎と完璧なる氷と— ( No.42 )
- 日時: 2011/02/23 18:54
- 名前: 蒼月白星鏡 (ID: khxqjExY)
- 参照: 現在イナイレ51・52話(動画)見てますw
第九話『生死—そして少年は涙を流した—』
緋色に染まって、
紅蓮に染まって、
炎は
消えた
筈だった。
「…あれ…?死んで…いない…?」
豪炎寺の手はまるで硬直したかのように止まっていた。
「何…でだ…?動け…動け…!動け!!動け!!!動けェ!!!!」
幾ら叫んでも金縛りにあったかのように手は動かない。
「如何して…如何して動かないんだよ…!!!」
「それは、豪炎寺自信が仲間と一緒に居たいと願っているからじゃないのか?」
「?!」
そう思っている筈はないと、豪炎寺自身は思っていた。
しかし実際は、"必要無い"という気持ちで紛らわしていただけだった。
「それだけで…手が…動かない…?そんな…!
俺は必要ないんだ… 弱いから…完璧じゃないから…」
「豪炎寺…」
「俺は弱かったから結局は皆を裏切る!
弱かったから夕香はあんな目に遭わされて、円堂や皆には迷惑かけて!結局エイリア学園の奴らに1点も取ることが出来なくて!!
だったら何で俺は生きてるんだ?!如何して俺は此処に居るんだ?!うわぁぁぁぁぁあああああアアアアアァァァァァ!!!」
手の力が抜けたのか、包丁はストンと落ちた。
土方は豪炎寺に近づき、頭を撫でた。
豪炎寺の目からは大粒の涙が流れた。
彼は叫び続けた。
その声は自分の身体中に響いた。
彼は泣き続けた。
その涙は止まることは無かった。
いつもは冷静な性格でも、それが全てとは限らない。
あの少年だって、本当は、思い切り笑って、思い切り泣きたい時だってある。
しかし、その感情は"いつもの自分"で抑えられてしまう。
迷惑をかけたくないから。
「豪炎寺、お前は今、"大切なもの"を失おうとしている。」
「…大切な…もの…?」
泣きながらも、返答する。
「それは俺が言っちゃいけない。お前が探さなきゃいけないんだ。」
「俺…が?」
「あぁ。何故なら…
お前が一番よく知り、よく分かっているからだ」
「…俺が…知ってる…」
泣き続けているが、声は震えなかった。
彼の足元は大量の涙で濡れていた。