二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ONE PIECE】 狂幻双子 ( No.12 )
- 日時: 2011/02/05 17:22
- 名前: 右左 (ID: 8hgpVngW)
<<эпизод 3>>
-トーマだけの暗号-
置いていかれたトーマは、家の二階にある一室のベッドの上で蹲っていた。
部屋にあるものは画材道具や、額縁に飾られ赤い絵の具で汚された写真くらいだ。
トーマは外で遊ぶ子供らを窓越しに見ながら溜息を吐く。
それから柄の赤い絵筆を右手に握り締め、立ち上がった。
「11、12、32、44、65、32、12……」
不規則な数字をぶつぶつと、何か呪文を唱えるように言っていく。。
彼女にとっては意味のあることなのかもしれない。
いや、きっとそうなのだ。
壁の前に着いたトーマは、筆を壁に押し付けた。
「ユーマなんて、嫌いだ」
先程までユーマを連れ戻そうとしていた人物とは思えない。
トーマは押し付けていた筆に、悪魔の実を食べて手に入れた「電撃」を発揮させる。
その電撃はとてつもなく大きい能力を持っており、数秒経たぬうちに家全体を包み込んだ。
外はなにやら騒がしく、子供らの叫び声が響く。
トーマは子供らの甲高い声が癇に障ったのか、鎮める為に電撃を少し緩めた。
「……ここからなら、届くかな」
トーマはユーマ達が向かった方向を向き、また数字を唱え始める。
「32、44、151、12、12。 11、105、41、25、12、91、41、12、105、141!!」
電撃をできるだけ細く、正確にユーマがいる方向に放つ。
人が受信できるだけの弱さに調節している。
「届けるんだ本当のユーマに。 アタシの事何も分かってないあんな子はユーマじゃないよあいつ殺す!!」
息を入れる間もなく言う。
トーマは先程の言葉が嘘のように笑顔になり、優しい声で言う。
「ユーマ、待っててね。 アタシがユーマの偽物を殺すから、お姉ちゃんだもんね。 ユーマ傷つけんのは許さないよ」
♪
ユーマ達は市場で買い物をしていた。
ふいに、後ろで電撃が落ちたような光を感じた気がして、ユーマが振り向く。
「ん??どうしたんだ、ユーマ」
ウソップがユーマの顔を覗き込んでくる。
ユーマは家の方向を向き、見つめたまま目を離さない。
「いや、」
「はっきりしねぇ態度だな」
ゾロはイライラしたような顔で言う。
その時、市場に居た商売人や買い物に来ていた者達が次々と倒れていった。
ユーマたちは倒れはしなかったが、急に頭に鈍痛が走った。
「いっ!! ……何よこの痛みぃ……っ!!」
「多分、これトーマで……、 !!」
突然、ユーマが血を吐いて膝を突いた。
ユーマは思う。
自分が引き起こした惨事だ、と。
自分が彼女を置いてきてしまったからだ、と。
彼女の事を分かっていた心算だっただけだ、と。
本当は分かってなどいなかった、と。
「本当にあの女性なのか?!」
サンジは痛みに耐えながら言う。
「きっと……いいえ、絶対に」
「どうやったら収まるんだ!!」
「俺が知った事じゃないですよ!! 俺だって、知らないです、こんなの……ッ!!」
声を張り上げる。
横からルフィの手が伸びてきて、ユーマの頬に拳を入れた。
「……った!!」
ユーマは小さくうめく。
「おいルフィ!! 何もそこまで……」
ウソップがユーマを庇おうとするも、ナミの腕で制される。
ナミは真摯な瞳で首を振る。
「何す……」
ユーマは頬を押さえ、ルフィを見た。
だが、そこに立つルフィに後ろめたさを覚え、顔を逸らした。
「甘えんじゃねぇ!!」