二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ONE PIECE】 狂幻双子 ( No.18 )
- 日時: 2011/02/06 17:10
- 名前: 右左 (ID: 8hgpVngW)
<<эпизод 4>>
-記憶の在処-
ユーマが地面につけていた膝が、急な痺れに襲われた。
その痺れは徐々に広がり、足全体の動きを封じ込んだ。
「甘えてないですよ?? だって俺は知らないんですから」
「知らねぇ事はねぇだろ!! お前ら一緒に過ごしてきたんじゃねぇのかよ!!」
「知らないもんは知らないんですよ。 俺にだけ記憶が無いんですから」
ユーマは唇を噛締め、誰かを憎むような顔でルフィ達を睨む。
その表情は他人に対する憎しみではなく、自分に向けられた憎しみだった。
——トーマが何を見、何をし、自分と共に生きたのか
トーマに知られたらきっと自分を〝家族〟と認めてくれないだろうと思い、隠れて探っていたのだ。
だが、それも虚しく何も手がかりはなかった。
起きた時には満面の笑みを浮かべたトーマだけがいたのだから。
「……どういうことなの??」
ナミがユーマに問う。
「どうもこうもないですよ。 ただ、トーマだけが事実を知っているだ」
「おい、避けろ!!」
ゾロが必死な顔でユーマの声を遮り、叫んでくる。
いつものユーマなら避ける事が出来ただろう。 だが、今は足が痺れ、動けないのだ。
矢のように飛んできた電撃がユーマの太ももを打ち抜く。
「痛っ!!」
「何だこれっ?!」
「ユーマお兄ちゃーん!! 逃げてぇぇえええ!!」
ピンクのワンピースを着た小さな少女が、山の中から声を張り上げている。
トーマ達の家の前にいた子供たちの一人だ。
第二撃目が飛んできた。
今度はより一層太く、大きな矢だ。
「手ぇ貸せ!!」
ルフィの腕が伸びてきて、ユーマの前で止まる。
ユーマは首を横に振った。
「いらないですよ」
そう言って笑顔で手を前にかざした。
「ユーマ?!」
ウソップが焦った顔でユーマを見る。
サンジは矢を見つめ、何かを分析しているようだ。
「ありゃあただの光の矢じゃねぇ!! いいからルフィにつかまりやがれ!!」
サンジが煙草をポロッと落とした。
ユーマは飛んできた矢に向かって、ポケットから取り出した何かを握り、大きく振りかぶった。
「封じ縫いっ!」
大量の糸が矢に向かって襲い掛かり、たちまち矢は速度を落とし、ユーマの膝元に落下した。
「俺が食べた悪魔の実の能力です」
ユーマはニコリと笑う。
ルフィを除く一味は、口をポカンとあけている。
「にししっ!! おめえすげぇな!!」
「でしょう??」
ユーマは持っている縫い針をまたポケットにしまい、矢が飛んできた方向をじっと見つめた。
そして、言う。
「さあ、悪い子にはおしおきが必要ですね」