二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ONE PIECE】 光の軌跡、双子の奇跡 ( No.38 )
- 日時: 2011/02/13 11:51
- 名前: 右左 (ID: 8hgpVngW)
- 参照: 左手が負傷して動かないと右手も動きにくくなった、どゆこと←
<<эпизод 6>>
-〝パパ〟-
ユーマが目覚めて見たのは、ユーマの自室の天井だった。
むく、と起き上がって横に居たのはナミ。
「あら、起きたのね」と誰に話しかけるわけでもないが、言った。
まだ夢見心地なのか自分の右手首で額をゴンゴンゴンと三回叩いた。
「何であなた達が俺の部屋に入ってるんですか?? トーマは??」
「その“トーマ”に部屋に入れと言われたのよ。 家に上がっていいからユーマの治療をしてくれって」
「そうですか」
他人にはあまり喋らないというのに。
トーマがルフィ達に頼みごとをするのは、何の前触れか。
部屋に居るルフィ達男陣を見渡すとゾロは新聞を持ち、サンジは煙草を吸い、ルフィとウソップはトランプで遊んでいた。
この部屋にトランプなんてあったのかと、改めて自覚する。
「肝心のトーマはどこです??」
「あの子ならどこか行ったわよ」
「緑さん、その手配書どこからとりました?!」
ナミの返答を軽く無視してゾロに言う。
「緑じゃねぇ、ゾロだ。 これなら、その棚からとった」
「あら?? “無情のリナリア”の手配書じゃないの」
ナミがその言葉を発した途端、扉がバンッと勢い良く開き、傍にいたウソップの顔面に直撃した。
ルフィはそれを見て大笑いしていた。
「パパは無情なんかじゃないわ!」
「……パパ??」
扉を開けたのは他でもない、トーマだ。
サンジはそれを見て、「び、びびび美人サン!!」と目をハートにしていた。
「パパは優しいんだ、凄く、凄く! 無情なんて、海軍の目がおかしいだけだ!」
トーマはナミの襟をガッと持ち、大声で言った。
「仲間を見殺しにする奴なんざ、無情以外の何だってんだ」
ゾロがトーマにけしかかる。
「無情じゃない! あれは仲間じゃない、パパの海賊を内部から滅ぼそうとしたばかな連中だ!」
トーマの勢いが休まる事はなく、息が荒くなる。
ルフィは先程の大笑いをやめ、真剣な瞳でトーマを見ている。
ウソップに関しては言うまでもなくガン無視だ。
「もう、皆してなんなの! ばかじゃないの! 何でそんなにパパを悪者にしちゃうの!」
「トーマ、黙ってくれますか」
ユーマの視線と辛辣な言葉に、トーマの肩はビクッと揺れる。
同時にのびていたウソップも起き上がった。 状況が上手く飲み込めないようだ。
「もう、やだよ……っ」
トーマは閉じかけていた扉をまたバンッと開け去っていった。
勿論、折角起きたウソップがまたのびてしまった。
——トーマ、ユーマを守ってくれな。 お姉ちゃんだかんな。
***
「ユーマは、もう、アタシの、ものじゃ、ないんだよ」
トーマは一人砂浜でしゃがんでいた。
遠くの海に最愛の父を想いうかべて。
父親というものは、子供たちの憧れ。
産まれた子供が男なら、一番初めに“将来の夢”の理想像になる存在。
産まれた子供が女なら、一番初めに恋をする存在。
トーマも、その一人なのだ。
だけど、そんな存在を好くのが何故悪い。
何故罵られなければならない。
彼女は、父を馬鹿にした海軍、村の大人たち、全てが嫌いなのだ。
一番は、父を獲ろうとした賊が、嫌いなのだ。
「アタシの渇きが、あの人達には癒せるのかな……??」