二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ONE PIECE】光の軌跡、双子の奇跡 @オリキャラ募集 ( No.75 )
- 日時: 2011/02/26 22:38
- 名前: 右左 (ID: 8hgpVngW)
<<эпизод 11>>
-“アイジョウ”-
「何なんですかアレ?! 獣?!人間?!」
「俺に聞くんじゃねえええええええええ」
一味と別れ、食料調達に行っていたトーマとサンジはある男に追いかけられていた。
その男の容姿は実に奇妙でまるで獣のようだ。
伸びに伸びた鮮やかな青い髪は地面に垂れ流しで、ズルズルと引きずられていた。
生えに生えた髭は何処かの仙人のものなのではないかと思うほど。
腰みの一枚を着て、野性的に生えている牙。
4mほどに見受けられる高い高い身長の男だ。
そして人間のそれとは思えないほどの、威圧的な空気を纏っていた。
「このままだとルフィさん達のトコ着いちゃいますよ?!」
「ンな事言ってもだな……!」
そう、サンジが先程から何度も蹴りを加えたり、ユーマが悪魔の実の能力で攻撃しても、あの長い髪が生き物のように動いて全ての攻撃を吸収してしまうのだ。
現に男は無傷だが、サンジとユーマはボロボロだ。
髪がワックスを塗ったようにカチカチで、当たっただけでも軽く傷が出来てしまうのだ。
感じる事が出来るのは、彼を物理的な攻撃で倒す事は無理、という事。
「……どうしますか」
「どうするもこうするも、戦うしかねーだろうが!!」
ユーマは何かを考える顔をして、首だけを、後ろに振り向かせる。
それから目を見開いて、身体ごと後ろを向かせ、立ち止まる。
直ぐ目の前に迫る敵と対峙しながら、嫌なほど冷静に立ち尽くす。
ユーマは相手の大男の平手を身体で受け止めた。
「んなっ!」
そして、丁度ルフィ達が戦闘をしているあたりへ飛んでいった。
彼が何を決意し、相手に飛ばされる事を選んだのか、考えている暇はない。
次はお前だとでも言いたげなオーラを醸し出しているのが分かる。
「ッ……、んだあの野郎……ッ」
そう呟いた途端、相手が倒れた。
物理的な攻撃は何もしていない。 強いて言えば、第三者が手を下したように。
血も吐かず、機能停止になったかのように、機械的に倒れたのだ。
「どうなってん…… !!」
サンジの身体の節々にトランプが刺さった。
まるで刀の刀身のようなギラリと妖しく光るトランプ。
角は丸みなど帯びていなく、刃物のように尖がっている。
大男の横から出てきたのは、白いシルクハットを被った大道芸人のような格好の男。
その後ろに、コートを着ている誰かが隠れている。
「お嬢さん、これで彼を捕獲してきてください♪」
後ろに隠れていた“お嬢さん”は、トランプの所為で身動きの取れないサンジの手を縛った。
それから足を縛り、仕舞には、胴体までも。
それから少し離れてから、彼女は男の傍までかける。
足首まであるコートからはみ出た銀色の髪の毛。
それから、身長。
全部が、先日自分たち一味に入ってきた少女とそっくりだった。
「トーマちゃん……?!」
男はクスクス笑いながら少女のフードを取った。
そこにはやはり、サンジが想像していた少女の姿があった。
「ごめんなさいは、言わないから」
サンジが最後に聞いたのは、そんな言葉だった。
次第に瞼が重く、落ちていく。
縛られた縄から匂う香りは、多分、睡眠薬の香りだ。
「お嬢さんにはもう、関わらない方がいいと思うよ♪」
「もう聞こえてないよ……行こう、ニコ」
少女は彼の腕を忙しなく引っ張る。
ニコは「りょーかい♪」と返事しながらサンジを片手で持ち上げる。
少女はもうおそらく聞こえてないであろうサンジの耳元で、懺悔する。
「“アタシ”が“トーマ”じゃなくて、ごめんね——」