二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ONE PIECE】 狂幻双子 ( No.9 )
日時: 2011/02/02 16:59
名前: 右左 (ID: 8hgpVngW)



<<эпизод 2>>

           -大人不信の少女の楽園-


女はルフィ達に近づいてくる。
ユーマの方を心配そうに見た後、キッと睨んできた。

「何してるのって、アタシは聞いてるんだよ」
「話してただけよ。 大袈裟なのね」

ナミが睨み返して言う。
女はユーマの腕に抱きつき、そのまま家の中に連れ込もうとする。
周りの子供達は花で冠を作ったりと、楽しそうに遊んでいる。

「おい、待てよ!!おれたちに飯食わせてくれるんじゃねーのか!!」

ルフィが叫ぶ。
ユーマが女の手からスルリと抜けてルフィ達の許へと走っていった。
そして女の方を向き、

「材料、買ってくるね」
「いらない。 いらないから、ここにいて」
「……行ってきます。 皆さん、行きましょう」

ユーマはルフィ達の背中を押しながら前に進む。
女は追いかけようともせず、唇を噛んで踵を返した。




ユーマ達は山のふもとのルキネ村に行っていた。

「ちょっと、あの子は誰だったの??」

ナミがきつい口調で問う。
女のどうでもよさそうな態度がナミの反感を買ったのだろう。

「俺の姉さんですよ。 ほら、似てるでしょ」

にこりと微笑みながら右手の人差し指を顔に近づける。
ルフィ以外の一味はユーマをまじまじと見つめ頷いた。

「それにしてもヒステリックな姉ちゃんだなー。 名前は何なんだ??」

ルフィと同じで急に馴れ馴れしくなったウソップはユーマの肩を組もうとしてくる。
ユーマはそれを片手で軽くあしらって、答える。

「リードレンデ・トーマです。 軽く、……いえ、重度の大人不信なので気をつけたほうがいいですよ」
「大人不信??」
「はい。 詳しい事は言えませんが」

全員が前を向き進んでいくのを確認するとユーマは顔を俯かせる。
その悲しげな表情をゾロだけは見ていた。
ナミだけがくるっと後ろを向き、問うてくる。

「アンタあんなのが姉で困ったりしないの??」

ナミは険しい表情をしていた。
真剣に、ユーマのことを考えているのだ。
だが、ナミの表情とは裏腹にユーマは笑顔で、

「どうしてです?? 俺は好きですよ」
「だって……何か人間味が欠けてる気がするのよ」
「そんな事はないです、断じて。 俺が保障しますよ」

ユーマは綺麗に笑って見せた。

「何を保障するんだ??」

ルフィが前から聞いてきた。
何も気にしてない、いつものおどけた表情で。

「姉さんの人間味が欠けてないって事です」
「ええっ!! おめえ姉ちゃんなんて居たのかぁ?!」
「「「「聞いてなかったんかいっ!!」」」」

一味総勢のツッコミが入った。
何も気にしていないいつものおどけた表情の理由は、本当に気にしてなかったのか。
とユーマは苦笑いをした。

「着きましたよ。 ここがルキネ村です」
「あん?? てめえが居んのもルキネ村じゃねえのか??」
「正確に言えばルキネ村の外れですし」

ユーマはふふ、と女のような含みのある笑いを浮かばせる。
それから誰にも気付かれないくらい小さな声で言う。




「姉さんは俺が守ると決めましたから、姉さんは欠けたままでもいいんですよ??」