二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン 異世界の危機 〜イナGOネタばれゲット!〜 ( No.128 )
日時: 2011/05/02 23:20
名前: 桜花火 (ID: /HyWNmZ0)
参照: pixivのサイトはおススメです!!!

38 嘘つき

それはまだ円堂たちが、食堂で食事をしていた頃の話


久遠冬花と同じ顔を持つ少女
『冬花』は自分の寝室で、寝ていた。






◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


守「大丈夫ですか、姫?」
冬『だいじょうぶ〜、ちょっと熱出ただけだからぁ〜』

幼い一人の少女が、ベッドで顔を真っ赤にして寝込んでいた。
その隣で、幼い少年が心配そうに顔を覗き込んでいる。

冬『本当に大丈夫だよ…ゴホッゴホッ』

幼い『冬花』が酷く咳き込んだ。
横にいる幼い守は急に焦りだして、席を立ち、外にいるメイドを呼びに行こうする。
しかし、その手を『冬花』は軽く握った。
まるで、行かないでと言うように。


握ったその手から、体温がものすごく高いことが分かった。

守「姫、どうしたんですか?」
冬『敬語ぉ〜』
守「うっ、ぁ……」

守はどうすればいいのか分からず、口をパクパクしていた。

冬『一人は嫌なの…、だから治るまで一緒にいてくれない?/////』

守は振り返ると、『冬花』の手を握り返した。
守「起きるまで、ここにいるから寝てていいよ」
冬『ありがとう…』

そういうと、『冬花』は守の手を握ったまま、瞼を閉じた。
守は彼女の熱くなった小さな手を、両手で包み込んだ。
その虚ろの目には、気持ちよさそうに寝ている『冬花』の顔が写っている。

夕日が差し込む部屋の中で、いつの間にか、二人は眠りについていた。
握っている小さな手を離さずに…


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


冬『……守?』

ベッドから体を起こし、『冬花』は部屋を見渡した。
—今、彼女が一番会いたい人がそこにいる気がした。

冬『夢か……』

そう思うたびに懐が痛く感じた。
目からも涙が一粒一粒零れ落ちる。








(守「泣くな、俺がついているから…」)

















声が聞こえた 

















一番会いたい人の声


















澄んだ落ち着いた声












辺りを見渡す。
やはり、いない。

冬『嘘つき……守の嘘つき……』

(コンコン)
すると、誰かが戸を叩く音が聞こえた。
間もなくすると、そこに現れたのは夏未だった。
手には出来立てのお粥があった。

夏「姫、お食事をお持ちしましたけど、召し上がりますか?」

『冬花』はコクンと頷く。
夏未はベッドの隣にあった椅子に腰を掛けた。

夏「私が言うことではないかもしれませんが……    




      







        

              一人で全部抱え込まないでください」
冬『…どうして…?』
夏「泣いていましたよね?これでもお付き合いは長いんですよ?そのくらい分かります」

『冬花』は急いで手で顔を隠し、さっきの涙をふき取ろうとする。
しかし、そのたびに新たな涙が零れ落ちる。

冬『うっ、うっ』
夏「……」

冬『夏未は…私のこと、恨んでないの?』
夏「!?」

突然の意外な質問に夏未は少し驚いた。
それでも、すぐに返事を返す。

夏「どうして私が貴女を恨むんですか?」
冬『だって、だって、夏未の国を全滅させたのは私の国かもしれないんだよ?それに、夏未が閉じ込められたのも、全部私の国が、氷の国に伝えた言葉の影響かもしれないんだよ?』
夏「私はそれを憎しみなんてちっとも思っていません……あえて言うなら、






   
   幸せだと思います」
冬『!?どうして…』
夏「あのことがあったからこそ、私はこの国に来ることができた…それに姫と守たちに会うことができて本当にうれしんです。確かに、あの時は苦しくて、寂しかったです。でも、そんなことで貴女を恨むわけがないじゃないですか」

夏未はニコッと『冬花』に笑いかけた。
それを見ると、『冬花』は夏未に抱きつく。

冬『もう、嫌だ……また、皆と一緒になりたい…守と修也と春奈と秋たちとまた一緒になりたい…』
夏「はい…、絶対大丈夫です。そのためにあの子たちを呼んできたじゃないですか、あの子たちならきっと、助けてくれますよ。だから、信じて」

夏未は『冬花』が泣き終わるまで、ずっとその震えている肩を軽く抱きしめていた。









『冬花』が泣き止み、お粥を食べ終わると、夏未は改めて、『冬花』に顔を向けなおした。

夏「…姫、明日ブラックキャッスルに行こうと思っています、一緒に来ますか?」

心の中ではもう答えがわかっていた。
彼女がどう答えるかは…
それでもなお、夏未は聞く。
姫の覚悟を知るために

冬『行くっ、私は足手まといになるかもしれない……でも、行きたいの!皆の心を取り戻したい!!』
夏「フッ、言うと思ってましたよ。では、明日迎えに来ますので…」

夏未はそういうと、席を立ち、扉の方へ向かった。

冬『あっ、夏未』

聞こえていた
彼女の声は…
だが、それをあえて遮るように夏未は去り際に小さくつぶやいた。

























—「明日、絶対に勝とう……冬花」