二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン 異世界の危機 〜魔光石編、開始!!〜 ( No.294 )
- 日時: 2011/06/03 00:14
- 名前: 桜花火◇16jxasov7 (ID: /HyWNmZ0)
6 戻れない
全「「えぇ!!」」
円「元の世界に…」
吹「戻れないって…」
ここは河川敷。円堂たちがちょうど練習を開始していた時、音無と雷門が戻ってきたのだ。
そして、衝撃的な言葉を聞いた。
—元の世界に戻れない、と。
鬼「どういう事だ?春奈」
音「魔光石って言う石がないから、元の世界には戻れないって…あの石がないと魔力が足りなくて、次元を渡れないし、移動場所も確定できないんだって…」
豪「なら、俺たちはどうするんだ?」
雷「まだ、よくわからないわ。後は嵐さんやもう一人の円堂くんたちに任せるしかないわ」
円「そうか……で、ほかには?」
円堂がそういうと、音無と雷門は顔を見合わせた。とても言いにくそうな顔をしている。
円「音無?夏未?」
雷「私が言うわ……私たちが聞いたことをそのままいうと、次に私たちが危ないって…」
風「危ない…俺たちが、か?」
音「はい、具体的にはよくわかりませんが、だから念のためにもう一人のヒロトさんが……」
守「護衛につけだとよ」
河川敷の階段の一番上に立っていたのは守だった。その後ろから四人くらいの少年少女が少し遅れてやってきた。
修「いい加減、引っ張るのをやめろ」
夏「はいはい。円堂く〜ん!!話は聞いた〜?」
夏未が修也の手を放すと、遠くから円堂に手を振り声をかける。
木「本当に性格違うんだね…」
風「違いすぎるだろう……」
五人は坂を滑り、フィールドに足をつけると、ゆっくりとした足取りで円堂たちに近づいた。春奈だけは除いて。春奈は直地するやいなや、すぐに音無の元へ走り抱きついた。
音「あわわわわ…」
春「なんか、本当にすごい!!もう一人の自分がいるなんて」
冬「すごい光景ですね…」
修「春奈、はしゃぐな。みっともないだろう」
修也が春奈の襟元をつかみ、二人を無理やり引き離した。
春「ごめん、ごめん」
修「ハァ…」
夏「話はもう全部聞いたの?」
夏未はもう一度同じ質問をした。
円「あぁ、でも護衛って…大げさすぎないか?」
秋「嫌なら、そこらへんのレベル一の魔物にかみ殺されれば?」
染「何だとっ!」
夏「秋!そんなこといわないの!ごめんね、皆、で、名前は一応わかるよね?」
円「同じだろ?」
夏「まあね、でも円堂とか、豪炎寺とかそういのはないから」
春「でね、なんでもここのことは何でも聞いて、案内してあげるから!」
音「う、うん」
隣にいた春奈はいつの間にか音無を捕まえ、音無は少し迷惑そうだが、楽しそうに話をしていた。まったく夏未の話を聞いていない。
夏「は・る・な」
春「何でしょうか、夏未姉様?」
夏未が怒っているのがわかったのか、口調が敬語になっていた。しかし、顔はキラキラしていて、音無の手を離さずつかんでいる。
木「音無さんもいろいろと大変な人に気に入られちゃいましたね…」
雷「え、えぇ…」
夏「話を聞きなさい」
春「うん、後で〜」
夏「ハァ、いいや……それで、円堂くんたちはいつまで練習続けてる気?もう真っ暗だけど」
日は沈み、辺りはすでに暗闇に包まれていた。町にある民家の家々の窓から、電気の明かりがこぼれている。
それでも円堂はまだやる気満々だった。
円「まだまだこれからだ!なっ、皆!!」
全「「おう!」」」
夏「元気いいのね、練習そのまま続けてて、私たちは邪魔にならないように見てるから」
円「前たちはやらないのか?」
円堂がボールを持ち上げ、腕組みをして壁によっかかっている守に聞くが、守はいつものように不愛想に答えるだけだ。
守「やるわけねぇだろ、こっちは仕事なんだ、そんな暇あるか」
春「私も用事があるから〜、ね?」
音「うっ…」
修「ただの迷惑だろ」
春「うっさい、黙れ」
修「テメェ…」
夏「はい、喧嘩はよそでやりなさい。円堂くんたちを巻き込んだら、次は私がアンタたちの骨をバッキバキにするよ?で、円堂くん練習してて、世界大会なんでしょ?絶対に勝たなきゃ」
鬼「円堂、無駄話は後にしよう。新しいフォーメーションを組みたい」
円「あぁ、分かった。お前たちもやりたくなったら言えよな!」
守「言うか、馬鹿」
守が走って行く円堂の背中に向かって、小さく吐き捨てるように言った。
だが、表情はどこかすこし寂しそうで昔を懐かしんでいるようだった。それを夏未は見逃すはずがなかった。
相変わらず、春奈は音無に夢中で、秋は大きな本を読んでいる。夏未にとってはあの大きな本の読むということでさえも死にそうなのに、秋は完全に本の世界に入り込んでいる。もしかして、自分にとって最強の敵はある意味本なのかもしれない、などと思いつつ、つまらなそうな守に近寄った。
夏「入れば?」
守「俺はしつこいやつが嫌いだと何回言った?」
夏「分かってるって」
守「はっきり言うと、アイツも気に食わねぇ…」
守がゴール前で、皆に指揮を出している円堂を見つめた。
サッカーをやっている円堂はこの状況下においても、とても嬉しそうな表情が顔に張り付いてあった。円堂だけではない、ほかの人も同じ、サッカーを楽しんでいる。その表情を見るたび、夏未は昔のことを思い出していた。
夏「円堂くんのこと?」
守「あぁ、ヘラヘラしやがって……」
夏「も〜う、あの子がいなかったら、今頃この世界は大惨事だよ?感謝しなさいよ。しかも、もう一人のアンタなんだよ?」
守「それでも、俺は俺、アイツはアイツだ…」
夏「本当に昔から頑固な性格は変わらないのね」
守「るっせぇ、余計な世話だ」
夏「クスッ、はいはい」
どうも機嫌が悪そうなので、そっとしておくことを決めつけた夏未は、次にもう一人の自分の方へ向かっていった。機嫌が悪いのはおそらく、いや、明らかに冬花を泣かしてしまった原因だろう。
夏「ちょっといいかな?」
雷「えぇ…」
雷門が少し横に席をずらし、空いたところに夏未が座った。
夏「円堂くんってすごいのね」
雷「え?」
夏「なんか、不思議な力があるみたい。皆を引きつけるような魅力的なものかな?」
雷「えぇ、ここにいる皆は円堂くんに魅かれたの、彼がいなかったらこのサッカーチームもダメになっていたわ」
夏「そうなんだ、聞かせてくれない?貴女たちの世界のこと」
雷「えぇ、貴女とは最初は気が合わなそうだと思ったけど、そうでもなさそうね」
夏「フッ、当たり前じゃない。同じ存在なんだもの」
同じ顔を待つ者同士が、やさしく微笑んだ。