二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン 異世界の危機〜テスト終了!更新再開!!〜 ( No.426 )
日時: 2011/07/16 16:20
名前: 桜花火◇16jxasov7 (ID: /HyWNmZ0)
参照: 地獄のテストから解放されました!!!

17 守りきる者の覚悟

「どこだ?ここは…」

真っ暗の宮殿のようなところに、守は立っていた。
宮殿と言っても、天井と床はなく、ただ暗闇が無限に広がっている。あるのは真っ白な柱だけ。とても不気味な感じがする。

「皆は?お〜い、誰かいないのか?」

声だけが反響して返ってくる。

「まいったな…冬花は大丈夫なのか…?」

頭を掻きながら、辺りを見渡す。やはり誰もいない。
出る方法はないかと、瞳を閉じて魔法が使われているのか、確認した。どうやら強力な魔力でこの空間は使われているらしい。

「俺じゃあ、とても壊せそうにないか…」

これからどうするべきか、座り込んで考えた。まずは、この空間から出るのが先だ。しかし、わからない。秋がいればどうにかなったかもしれないが、肝心の彼女は今どこにいるかでさえもわからない。思考があまり回らない自分ではいつになっても答えが出そうにない。秋の頭脳派とは違い、こっちは体力(暴力)派だ。頭はほぼ使わない(使えない)。

「壊せそうにもないし、出れそうにもないな…円堂たちが無事ならいいんだが…」

フッとため息をした。さっきの光景を思い出して、自分はなんてバカなことをしていたんだと後悔。

「あんな女一人にまんまと罠に引っかかるとは…」

天井を見つめてもやはり闇が続いているだけ、何もない。星があればいいのに〜、と春奈は呑気に考えるだろう。瞳子に似ているというのか、夏未に似ているのか、あるいはその両方だろう。

「——!!」

遠くの方から誰かの叫ぶ声が聞こえた。声が低い。おそらく少年のものだ。

「晴矢か?それともリュウジかアツヤ?(修也はごめんだ)」

とにかく声のする方へ向かった。仲間と合流できた方が、まだ安心だと考えた。
そして、守は合流したことが本日二度目の後悔となる。
悪い予感が的中し、目の前にいるのは、守と犬猿の仲の修也だった。お互い相手を睨みつける。

「よりによってど〜してお前なんだ?ビリビリ野郎」
「俺で悪かったな、クソ炎」

円堂と豪炎寺はとても仲がいいのに対し、彼らはほぼ毎日のように殴り合ったり、口喧嘩を繰り返している。通常炎と雷の属性は悪くもよくもなく、こんなにも仲が悪くなるのは珍しく、特にこの二人は国の中でも一番仲が悪いと評判ならしい。夏未も仲の悪さには頭を抱えるほど悩んでいる。しかし、いざとなったときはなぜかコンビネーションがとてもいい。が、彼らは必ず「こいつとコンビを組んだ覚えはない!!」と叫ぶ。

「ほかの奴はいなかったのか?」

質問をするが、修也は完全に守に背を向け、顔を合わせない。

「いたら連れてくるだろう、ちゃんと考えろバ〜カ」
「んだと?クソバンダナ!」
「やんのか!」

腰に差してある自分の刀に手を置き、戦闘モードに突入。彼らは相手を敵とみなしている。

「あっ!!修也ぁ〜守ぅ〜!!」

次に来たのは茜と秋だった。ブンブンと手を大きく振り、こっちに向かってくる。秋はその後ろを少し早歩きで追っている。

「よかったぁ〜ここに来たとき、一人だったから怖かったよぅ〜。すぐに秋と合流できたから、よかったけど」
「どうして守と修也?仲が悪いのに…」
「「しらねぇ」」

もう一度お互いのにらみ合い。間に火花が散る。

「後は晴矢と風介とアツヤとリュウジだよね?」
「炎愁は一旦家に戻った…」

考え込む四人。秋はしゃがみ込み、自分の指をクナイで切り、真っ白のほんの中に何かを書き始めた。守たちはそれを覗き込むが、何を書いているのかさっぱりわからない。

「秋、これはなんかの魔方陣か?」
「修也、これ基本的な魔方陣計算…」
「あ〜見たことある!それ結構難しいよね〜」
「…ちゃんと本を読んでれば、分かる」

淡々と答え、作業を進めていく。何やら中央にクリスタルの様な絵が描かれている。この国で光の魔力を現すマークだ。次には火のマーク、雷のマークと次々に書いていく、書き終わると、その上に大きくバツ印を書き足し、せっかく書いた絵を消してしまった。

「なんで消すんだ?」
「さっき、修也と守の魔法が効かなかったから…」
「あっ、そういうこと!」

茜が手をポンと叩いた。ほんとにわかっているのか、と疑う目線で守に見られていても気にしない。

「ここまでは、ただのメモ…あとから計算…」

言いながらも、手は止めない。次々に複雑な図を書いていく。もちろん、ごちゃごちゃで何を書いているのか分からないが、ここは秋に任せておこう、と修也は辺りをキョロキョロ見渡し、見つかっていない人の姿を追う。本当に勉強しているんだな、と心の中で守は感心していた。すると、突然秋が手を止め、覗き込んでいる守の顔を見上げる。

「?」
「顔が近い…暗くて見えない」
「悪い悪い…」

そろそろ血がなくなってくると、もう一度自分の指に切り口をつける。計算(?)が終わるのはまだ時間がかかりそうだ。








「おねーちゃん、あそぼ?」

一瞬だが、チェルタから殺気が感じられた。アルティスの命令ならば、円堂を殺さないかもしれない、しかし、そのほかの邪魔者は排除する気だろう。

「チッ…」

せめてここに炎愁がいれば、円堂たちの守りに入ることができた。今、彼女はいない、接近戦での戦いは不利だが、自分が戦うしかほかならない。せめて、さっき炎愁を無理やりにでも食事に誘えばよかった、そんな後悔の色が混ざった舌打ち。
円堂たちはどうすればいいのか分からなく、後ろでおどおどしている。特に女子たちは泣き出す寸前だ。

(私が守んなきゃ…)

春奈が腰を低く落とす。接近戦が不利な以上、先手を打つしかない。大技を決め一気に仕留めるつもりだ。

「ねぇねぇ、おにごっこやらない?」
「鬼ごっこ?」

春奈が聞き返す。相手のチェルタは『獲物』を前にしてうれしそうに微笑んでいる。余裕そうなその笑みは非常に腹が立つ。まるで見下されているような感じがした。

「うん!ぼくがおにになるから、みんなはにげるやく。で、もしぼくにつかまったらしんじゃう、ってるーるでいい?」
「いい訳ないでしょ!!円堂たちは関係ないじゃない!!お前の相手は私だ!!」

春奈が吼える。チェルトは満足のいかない答えが返ってきてキョトンとしている。

「え〜じゃあ、どうしたらあそんでくれるのぉ?」
「お前の首が地面に転がったら、遊んでやるよ!!アクアロック!!」

後ろにいる円堂たちは水のドーム状のベールに包みこまれた。円堂や音無たちがこちらに向かって叫びながら水の壁を強く叩く。

「そこにいて…私が絶対に守るから…」
「おねーちゃん、とじこめちゃったの?いっしょにまぜてあそばないの?」









「円堂たちは私が命に代えても絶対に守る!!」