二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン 異世界の危機 闇元月実、登場&魔法募集中 ( No.524 )
日時: 2011/08/22 17:24
名前: 桜花火◇16jxasov7 (ID: /HyWNmZ0)
参照: バトン完成です!

バトンが回ってきたので、やらせてもらいました〜


※10年後設定です
※名前呼びです



———『天然看護師とトマト嫌いの野望』———

「あれ?翔太く〜ん、いないの?」

久遠冬花。10年前はイナズマジャパンのマネージャーとして、活躍をしていて、今はこの稲妻総合病院に勤めている看護師だ。
今日も毎日と同じように、患者たちを見回っていたのだが、少年の姿がなかった。
いつも検査があるから遊ばないで、と言っても軽く返事をするだけで、言うことを一度も聞いてくれたことはない。

「もう〜検査なのに、ホント、言うことを聞いてくれないんだから」

仕方なくその少年がいつもいる場所へと足を運んだ。

そこは病院の中庭。入院している少年少女たちがここで元気に遊んでいる。
その翔太、と呼ばれる少年もそうだ。

「あれ?あそこで何かやってるのかな?」

ちょうど中央の場所に、たくさんの子どもたちが感嘆の声を上げて、集まっていた。
冬花が探していた少年もその中の一人だった。見つけると、すぐに呼び戻そうとしたが、子ども達にパフォーマンス(?)を披露している人物が、『彼』だと分かると、あっ、と小さく声を上げて、邪魔にならないように、ゆっくりとたまり場へと近づいた。

「うわ〜お兄ちゃんすごい!!」
「もっかい!見せて!」
「ダ〜メだ、もう何回も見せただろ?」

子ども達は青年に断られても、しつこく何度もお願いお願い、と言ってすがりついている。しかし、青年はため息を吐いて、同じように断り続ける。本当に何度もやっていたそうだ。それでは、さすがに疲れてしまうだろう。

「あっ、翔太君!!検査でしょ?」
「おいおい…検査前に動いていいのかよ」
「大丈夫!」
「ほら、翔太君、そろそろ行かないと」
「は〜い、お兄ちゃんまたサッカー教えてね!!」
「退院したらな」

ニコッと少年は笑うと、別の看護師が彼を検査室へと連れて行った。

「明王くん、来てたんだ」
「あぁ」
「さっきは何してたの?」

返ってくる答えはもう分かっていたが、青年との一言目がいつも同じで、最近ではクセになってしまった。

「少しだけサッカー教えてた」
「フフッ、明王くんって中学生の頃から変わらないよね」
「どういう意味だそれ」
「成長してない!」
「冬花…テメェ…」

意地悪っぽく、言ってみると、彼—不動明王はいつも同じ反応をする。
不動も10年前のイナズマジャパンの選手で、何か月前からなのかは、忘れてしまったが、よくこの病院に来るようになっていた。

「あっ、そうだ。明王くんにすごく似てる子が、この病院によく来るんだよ」
「俺に似てる?」

あまりいい答えは返ってこないだろうと、思った時にはもう遅く、口が勝手に動いてしまった。
冬花は同じニコニコと笑顔を浮かべながら、その少年を思い浮かべた。

「うん。ここに入院している子の弟だけど、なんか…似てる!」
「……」

微妙な眼差しを向ける不動に、冬花は頬を膨らませた。行動からして、大人だと言うのに、まだ幼さが残っている。

「疑ってるでしょ!本当なんだよ?」
「なんかってなんだよ…」
「う〜ん、雰囲気とか〜性格とか〜あっ!後、トマトが嫌いそうな顔してるところ!」
「意味わかんねぇよ!」
「だって、明王くんトマト嫌いでしょ?」
「関係ないだろ!!」

中学の時、偶然彼がトマトを省いていることに気付き、それ以来からたまにからかわれるようになった。

「ねぇねぇ、まだトマト嫌いなの?」
「うるせぇ」
「やっぱり、トマト嫌いなんだ!私ね、頑張ってトマトが嫌いな人でも、トマトが好きになれるトマト料理をね…」
「トマトトマトって連呼するな!」
「え〜と、ほら!そこにいる子の弟さんなんだよ。優一く〜ん!」
「人の話を聞け!」

いつも冬花のテンションには振り回されてばかり、反抗しようとしても相手が女だと、また何か言われそうで、その気が失せる。
隣で冬花は、三階の窓から顔を覗かせている少年に手を振ると、相手もちょっぴり恥ずかしながら、小さく手を振り返した。

「お兄ちゃんは、優しそうなんだけどね」
「俺に兄弟なんていないから、しらねぇよ」
「ホントなんだってば〜」
「はいはい」

今度は適当に答えると、さすがに冬花も呆れたのか、黙り込んだ……と思ったが。

「…そうだ!その子に会わせてあげる!」
「結構だ」
「えぇ〜」
「冬花さ〜ん、ちょっといいですか?」

遠くから自分の名前を呼ぶ女性の声が聞こえた。

「明王くん、ちょっと待っててね!すぐ来るから!!」
「仕事しろよ…」

とは言うものの、不動は冬花が戻ってくるまで中庭の散策をすることにした。
そういえば、昼食をとっていなかったことに気付いたが、冬花が戻ってきた時に、大げさになりそうで、それまで待つことにしよう。

「ったく…トマトトマトって…」

腕を組み何かを考えながら歩いていると、正面から誰かがぶつかってきた。

「おっと、ちゃんと前を向きながら歩けよ」
「……るっせぇ」
「なんだアイツ、自分からぶつかってきたのに」

ぶつかってきたのは、少年だった。中学生くらいだと思うが、服装がものすごく不良っぽい。よくそれで道中を歩けるな、と思うが、振り返ったときには、少年は病院の中へと姿を消した。

「お待たせ!」
「おう」
「どうかしたの?」

返事はしてくれたものの、視線は遠くの方を向いていた。不思議に思って、同じ場所に振り返っても、誰もいない。

「何でもない。それより仕事はいいのか?」
「うん。今日はあまり忙しくないんだ〜」
「そうか」
「あっ、そうだ!後で昼食食べに行かない?おいしいオムライスがあるんだよ〜」
「トマトがあるじゃねぇか!」
「だから、おいしんだってば!!じゃあ、トマトスパゲティは?」

必死な表情なのか、それともただ単にふざけているのか、分からないが、とにかくトマト料理が食べたい、いや、食べさせたいらしい。
いつか、彼女が苦手としているものを必ず見つけ出し、仕返しをしてやる、と不動は心に誓った。




〜おまけ・レストランにて〜
「えっと、トマトスパゲティを二つ下さい!」
「おいっ!テメェ勝手に決めつけるなッ!!」
(畜生…絶対仕返ししてやる…)



「そういえば、お前は苦手なものはないのか?」

フォークでスパゲティを絡ませ、優雅に口へと運んでいる冬花は、とても幸せそうな表情を浮かべていた。このレストランは、お気に入りのところらしい。

「え?う〜ん、食べ物なら何でも食べるよ(ニコッ」

この一言で、見事に不動の野望は打ち砕かれたのだった。






ぼのぼの……なのか?
ふどふゆ、初めて…てか、ぼのぼのとかそういうの自体書いたことないから……


質問の回答は次……かな?