二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン 異世界の危機 魔法募集中 ( No.597 )
日時: 2011/09/24 10:03
名前: 桜花火◇16jxasov7 (ID: /HyWNmZ0)
参照: 遠足で、ディズニーランドに行ってきました!

「で、後から、悠也さんの仕事が終わったら、ここに来てくれるから、それまでに荷物の準備w「治療を頼む!!!!」な、何よ…」

会議に使っていた食堂の扉が、突然勢いよくバンッと開いた。そこには汗だくの修也と彼の首に腕をまわし、ぐったりとうなだれている———傷だらけの守の姿。

「どうしたの!?」
「話は後だ!!秋!応急処置を頼む!俺は姫を呼んでくる!!」
「ちょっ、修也!!」

修也を呼び止めるよりも早く、彼は会議室を出て、猛ダッシュで冬花のところへ向かった。
床に視線を向けると、そこには背中から大量に出血し、今にでも死にそうな守が倒れている。今は修也の事よりも、こっちの方が大変だ。

「守!!聞こえる!?」

夏未が耳元で叫んでも少しも反応しない。聞こえるのは、守が必死に息継ぎをしようとしている弱い息遣い。出血も多く、すぐに止めなければ衰弱し、死んでしまう。

「こいつ、大丈夫なのか!?」
「円堂、黙れ…集中しないと治癒ができない…」

この状況でも、秋は冷静に判断を下している。まずは冬花が来るまで、できるだけのことをする。自分の魔法では、応急処置ぐらいしかできないが、それでも、冬花の負担を和らげられる。

「止血する…」

血だらけの背中に手を当てると、そこには小さな薄緑色のベールができる。秋の回復魔法、癒風の空間(ユカゼノクウカン)の応用だ。元はこの魔法が造りだす大きな空間に入っている人の傷が修復するのだが、全身でなければ、このように魔法の規模自体を小さくし、魔力の消費を抑えているのだ。
数秒後、さっきまで、止まらずひたすら流れていた血の量がだんだん少なくなり、やがて止まった。
秋の応急処置によって、守は一命を取り留め、息継ぎもだんだん緩やかなものへと変わっているたが、まだ目を覚ます気配がない。
一応、秋ができるのはここまで。こんなにも大きな傷はとてもではないが、完治させるのには難しい。
斬られている、と言っても、ただそれだけではない。皮膚や肉ごと深く抉られている。あと少しでも深く斬られていれば、内臓にも傷ができ、回復魔法では到底治せなかっただろう。

「ハァハァ…守!!!」
「姫…応急処置だけはやりました」
「あ、ありがとう。後は私に任せて…」

すでに血は流れていないが、傷跡が大きい。まるで、大きな鎌に斬られたような痛々しい跡……。さっき、修也が話していた、巨大カマキリのことだろう。

「修也!これはどういうこと!?」
「悪い…俺が守を止めていれば…」
「昨日もおかしかったけど…円堂くん、守に何か話した?」
「えっ…あっ…」

一瞬戸惑ったが、昨日、円堂が守にサッカーのことを話したのを思い出した。それが原因で、守が——?

「昨日…俺は守からサッカーをやらなかったことを聞き出した。郁斗のことや、剣士になった理由…」
「余計なことに首を突っ込むなと何回言った!!!」
「余計な事なんかじゃない!守はサッカーをやりたがっている!」

修也と張り合うかのように、円堂は両手を強く握りしめ、叫んだ。

「それはお前の勝手な妄想だ!お前の考えを人に押し付けるような真似すんじゃねぇ!今、守は後少しでも、処置が遅れたら死んでいたんだぞ!!!」
「守は郁斗が死んだことを自分のせいだと思って、本当は大好きなサッカーを捨てたんだ!!!好きな気持ちに嘘なんかついt「嘘をつかないといけねぇ時もあんだよ!!!!」そんなの…」
「もう一度言う。余計なことに首を突っ込むな…次、お前のせいで、誰かが傷ついたら…」

修也は円堂の襟元を素早くつかみ、グイッと顔を寄せた。




「お前の仲間を一人残らず、叩き潰す」




「調子にならないで、修也」
「本当のことだ。また郁斗みたいに皆が死んだらどうする?」

修也の目は本気だった。もちろん、彼自身もさっきのことは冗談ではない。次に仲間が傷つくようなことがあれば、円堂たちを一人残らず同じ目に合わせる。確かに、彼らは自分たちを助けてくれた恩人かもしれない。しかし、それとこの話は別だ。

襟を勢いよく放され、円堂はフラフラと後ろへと数歩下がった。

「円堂…」

倒れているもう一人の自分を見つめて、円堂は両手に力を入れた。自分でもわかっている、余計な世話だということは。でも、彼が、もう一人の自分が、大好きなものに嘘をついて苦しんでいる姿を黙って見てはいられなかった。だから、あんなにもしつこく彼にまとわりついていた。
後ろにいた、風丸が円堂の肩に手を当て、彼の名を呼ぶが、反応が一切ない。

「ひ…め…」
「守!!!」

涙目でこちらを見つめてくる冬花に手を伸ばそうとするが、力が入らなく、途中で力をなくし、落ちてしまう。それを冬花が両手で包み込んだ。

「ごめん…あともう少しだから、寝てて…」
「……はぃ」

一度薄く開いた瞳を、また、ゆっくりと閉じた。同時に手からも力が抜ける。