二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン 異世界の危機 アニメネタバレ? 投稿!  ( No.77 )
日時: 2011/04/16 16:05
名前: 桜花火 (ID: /HyWNmZ0)

27 兄のために…

怪しい山奥に、大きな城が建っていた。
城の周りは濃い闇に包まれてあり、とても生き物がいるとは思えないほどだった。
その城の名は



—『ブラックキャッスル』



春奈が残した最後の言葉だ。
勝負がしたければ、ここに来いと…
春奈たちがアルティスに捕まった後、監禁されていた場所でもあった。
今では、彼ら彼女らの住処だ。



そこへ秋の移動魔法を使い、フェアリー王国から帰還してきた四人はある大きな扉の向こうの部屋に入った。
そこには、さっきまで彼らをモニーターで見ていたアルティスが椅子に座っていた。

修「ただいま、戻りました、アルティス様」

ア「お疲れ様です、見事でしたよ」

春「どこが見事よ!夏未が裏切ったんだよ!?」

春奈が腹を立てていた。
それでも、アルティスは柔らかな口調で答える。

ア「そんなことは、ありません。例え逃げられても、所詮はあの石がなくてはただの雑魚…今の貴方たちなら、相手があの『紅蓮の剣士』であっても負けるはずがありません」

—『紅蓮の剣士』
これは、夏未に与えられた称号。
彼女は火を華麗に操り、剣を振るい、戦闘を行う。
その火は夏未自身が止めない限り、燃え移った物は灰になり、消えるまでは消えない。
フェアリー王国だけではなく、他国とも一位二位を争うほどの力の持ち主だ。

春「ふんっ、そんなの決まっているわ」

ア「しかし…」

さっきまで柔らかの口調のアルティスが表情を一気に変えた。
そして、春奈のあごを軽くつかみ、低く声を出した。

ア「貴方たちは決してあの女のようには逃がしませんよ?」

春「チッ、逃げたりなんかしないわ。あの姫に仕返しをするんですもの」

そういって、アルティスの手を振りほどき、扉の方へと進んだ。

修「どこに行くんだ?」

春「だるいから、部屋に戻ってる」

歩きながら返事をすると、入ってきた扉から姿を消した。

ア「ご機嫌斜めですね…」

修「…」

ア「なにか言いたそうですね」

修「…俺たちがあの場所に現れた時、そこには姫以外にも—」

ア「もう一人の自分たちがいた…そうでしょ?」

アルティスは修也の言葉を遮るように言った。

修「はい、なんの為かはわかりませんが、異世界から連れてきたようです」

ア「勝手にしてあげましょう、どうせただの小さな抵抗ですよ。同一人物でも、貴方たちの方が強いでしょうから」

修「……」

ア「貴方もそろそろ戻ってはどうですか?明日にはやってもらいたいことがありますから」

修「はい」

軽くお辞儀をして、残っていたメンバーはその部屋を後にした。



ア「楽しみですよ…『冬花』さん」


アルティスはにやりと笑いながらそう呟いた。












アルティスの部屋を出た春奈は自分の部屋に戻っていた。
部屋は至って普通だった。
彼女がそう望んだのだ。
部屋に入ると、春奈は真っ先にベットに倒れこんだ。



—どうして…?春奈!?—



突如、頭の中に『冬花』の声が響いた。
春奈はそれを忘れようと頭を何回も左右に振る。

春「復讐のため…」

小さくつぶやくと、春奈は起き上がり、机と上に置いてある写真を見つめた。
その表情には寂しさがあふれている。

写真に写っているのは幼い頃の春奈と、彼女を膝の上に座らせてこちらに向けて微笑んでいる少年がいる。
年は六から七つくらい離れているであろう、一つ縛りのドレッドヘアーに赤い瞳の持ち主の少年。



—同時に鬼道有人と同じ存在の少年だ。




春奈はその写真が入っている写真たてに手を伸ばす。

春「あなたの敵はちゃんと取るからね…


























            お兄ちゃん」

春奈は写真を自分の方に抱き寄せた。