二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 鋼の錬金術師 〜夜空に舞う剣〜 ( No.3 )
- 日時: 2011/02/02 06:53
- 名前: アミ (ID: fph0n3nQ)
第一章 遊び心と奇襲
その日の天気は、快晴だった。
気持ちのいい青空のもと、緑が多い東部の道を、その列車は走っている。
しかし——
その列車に乗っている少年の心は、気持ちよくもなく、すっきりともしていなかった……。
「……結局、東方司令部に行くのか……」
そう機嫌の悪そうな顔で呟いた、この金髪金眼の少年。名を、エドワード・エルリックと言った。十二歳にしては背が低めで目つきもいいとは言えない彼の顔は、今、かなり歪んでいる。
その理由は、あまりにも簡単なことなのだが……
「まぁだそんなふうに言ってるの? あそこに行くって決めたのは、兄さんでしょ?」
エドワードの向かい側でそう呟いたのは、弟のアルフォンス・エルリック。二メートル近くある巨大な鎧である。
兄よりもかなり身長が高く、冷静なせいか、よく彼が兄と間違われてしまう。そしてそのたび、エドが激怒するのであった。
エドはアルの言葉を聞いて、喚きだした。
「いや、確かにそうは言ったけどよ。いざ列車に乗ると……なんかこう、なぁ? あのクソ大佐の面が浮かんできてよ、そしたらなんか、やっぱり行くの嫌だなぁ、みたいな?」
アルは頭を抱え、うつむいた。その行為がなければきっと、盛大なため息をついていただろう。
「……もうそれ、百回くらい聴いたよ」
「百回は大げさだ! オレはまだ、二十回くらいしか言ってない!」
エドは、胸を張ってそんなことを言う。
おおいばりで言うことではないと思うのだが……
アルの方もその言葉を聞いて、
——いや、二十回でも相当でしょ。
などと心で言い、呆れかえっていたようだ……
☆
軍の司令部のひとつ、東方司令部のある街——イーストシティへ行くのに、そう時間はかからなかった。
「あ〜あ……結局着いちまったな」
エドは、駅のプラットホームでキョロキョロしながら、そう言った。
アルも、鎧の身体を揺らしながら、言う。
「そうだね。さ、兄さん、覚悟決めようか!!」
「お、おまえなぁ……うぅ……」
エドの方は妙に苦しそうな声を上げ、頭を抱える。 きっとアルの表情があれば、意地悪い笑みを浮かべていたところだろう……。
ちなみになぜ、こんなにもエドが東方司令部へ行くのをこんなにも嫌がるかというと、そこには彼の大っ嫌いな上官がいるからである。そうでなければ、もう少し司令部に足を運ぶ回数も、増えていたことだろう。
駅を出て、数分。
エドはあるところで、急に足を止める。
「ん? どうしたの、兄さん?」
アルが訝しげにエドを見下ろすと、彼は軽く目をつぶり、口を開く。
「誰だ、そこにいんの? とっとと出てこいよ」
「え!?」
エドの一言と同時に、アルが振り返ると……
きらめく刃が、兄弟に襲いかかって来た!
「わ!」
「おっと」
エドもアルも、それをギリギリで避ける。しかし、今度は誰かが、エドに向かってかけてきた。