二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ONE PIECE〜そして全てが変わる〜(オリキャラ募集中) ( No.44 )
- 日時: 2011/03/06 14:08
- 名前: 高野 蓮 ◆nWrw0f942I (ID: aS9uLd49)
第18話〜海賊〜
…いた。あんなとこに子供が2人。
「…お前がポートガス・D・エースか?」
「…誰だ、お前!」
エースと思われる子供が叫び、何かの棒を構える。
「俺は海軍本部准将レンだ」
俺がそう名乗ると、背後の気配が急速に立ち去っていくのを感じる。
海軍准将に手を出すのは危険と判断したんだろう。
「か、海軍の准将が何の用だ!」
サボはと言うと、震えながらもエースを見捨てて逃げたりしない。この年で大したもんだ。
「なに…ガープさんの鍛え方に問題を感じて、少し手を出させてもらいに来た。」
「爺さんの?…それで俺をどうする気だ」
「なあに…」
エースの問いかけに応える前に、俺は2人の背後に回り、ひょいと抱え上げる。
原作の頃のエースじゃあ、さすがにこんなに簡単に
接近させてはくれないだろうが、今はまだ年齢が年齢だけあって、
剃の動きについてこれなかったのだろう。
とりあえず山を下り、ガープ中将と話し、また2人を抱え込んだ。
「……それで俺達をどうするんだよ」
「お前達海賊に憧れているらしいからな…ひとつ、社会科見学でもと。」
「「?」」
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連れていったのは、ある町…だったもの。
「「…何だこりゃ…」」
サボとエースはそう呟いた。
そこには今は廃墟と化した町。あちらこちらに死体が転がっている。
コツン、と黒焦げになった人の腕に足に当たり、袋の中に吐いていた。
あちらでは、動かなくなった子供を抱えた母親が半狂乱になって子供を揺さぶり続けている。
…こいつ等、顔が青ざめている。
「ここは、少し前に海賊達に奪われ犯され殺され焼かれた町だ。…よく見とけ」
ぐるりと俺は周囲を見回して言った。
「これがお前達が憧れた海賊が、今も世界の海のどこかで、普通に行っている事だ」
俺はこいつらに、この光景を見せたかった。
…通常はこの町サイズなら、ここまで酷い事にはならない。
ただし、それは海賊がここを襲った連中より優しいから、
なんかじゃない。ただ単に、町も警戒しているから。
通常は海賊船が発見され、有志による守備部隊が動き、
更に海兵に連絡がいく。後は海兵が来るまでどれだけ粘れるか、だ。
ここを襲った連中は、そこら辺を熟知していた。
襲った奴の名は、懸賞金1000万ベリー『狂賢』のサズリ、東の海ではなかなかの額だ。
今回、奴は事前に部下を町へ別の町からの定期便を使って送り込み、
襲撃時間と合わせて見張りと通信設備を素早く制圧。
結果、町は見事なまでの奇襲を受けた。
予備というか、町長の家に裕福な人間のステータスとして置かれていた
電伝虫からかろうじて、近隣の町へと連絡がいき、
そこから海兵に連絡がいき、駆けつけた時には、
既にサズリは姿を眩ましていた。
…海賊の中にも無論、漢気のある奴はいる。
原作の白ひげや赤髪なんかがその代表例だが、
実の所大部分の海賊はこういう普通に暮らしている人達を襲撃し、財貨を奪う奴らだ。
子供がそれに憧れるのは世の常とも言える事だ。この辺は親とかに規則で縛られているからな。
だが、原作のエースはやがて、『立派な』海賊になる。
だからこそ、その前にこいつには現実をしっかり見せておいてやりたかった。
「俺達は海賊になってもこんな事しない!」
「…甘いな。お前、仲間を作るつもりはあるか?
それとも、お前達2人だけでずっと航海するのか?」
「?そりゃあ、仲間を集めるつもりだけど……」
「なら、そいつらの食料はどうするつもりだ?
他の海賊を襲うか?襲えなかった時はどうする?
海の上で偶然海賊に遭遇して、そいつらが
自分達が倒せる程度の相手で、尚且つそいつらが
自分達の腹を満たすのに十分な食料や財貨を持っているのは
どれだけの低確率だろう?現実はそんなものだ。」
これが白ひげ並の大海賊ともなれば、自分の領土を持ち、
そこに他の海賊から守る代わりに金を貰うなんて事も出来るが、
そんな事が可能なのは、その旗を見ただけで他の海賊がびびるような大物だけだ。
その辺りはエースもサボも悔しげな様子で俯いた。
町を歩きながら、部下達に命令を下しているが、
崩れた瓦礫の中にまだ人がいるって時は雪で持ち上げるのを手伝ったりもする。
ただ、俺自身の提案による実験部隊が俺の船にはいるから、
基本はそいつらが対応する。もちろん、他の海兵達も手伝うんだが。
本来、船には船医が乗っているが、その数は限られている。
それを、サカズキ大将に直訴する形で、
海賊の襲撃を受けた町などで救護活動を行なえるよう、医療部隊を拡充した。
また、ドクターベガパンクにも伝手を貰って頼みこみ、レスキュー部隊を道具込みで創設した。
無論、そんなに大勢の医者はいないし、道具もまだまだ数も少ないので、
一部の船に試験的に積まれてる状態だが、提唱者の俺の船には当然積まれている。
まあ、こうした積荷を載せると、どうしてもその分武装だの他の所に皺寄せが行くんで、嫌がる海兵も多いんだが。
だが、この編成はこうした町での救援活動には有効だ。
というか、現実での災害救助部隊を元に考えた。
実際、医療部隊の所に、町の殆どの場所からはっきり見える高い
ポールの上に掲げられている旗は赤十字の旗だ。
普通の海兵が走り回って、怪我人で歩ける奴は旗の所に行くようにメガホンで叫んでいる。
もちろん、その途中で歩けないような重傷者を見つけたら、
担架を持った海兵を呼んで、運んだりしている。
…さっき吐いたばかりなのに、先程担架に乗せて運ばれていった死体を見て、またエース達は吐きそうな様子になっている。
無理もないか、こいつらはまだ8歳だ。
俺だって初めて人を殺した時も気分が悪くなって吐いちまった。
それでも、こいつらには見せておくべきだと思った。
そうして、こんな事をやらかした海賊がどんな目に遭うのか、をな。
「レン准将。サズリの足取りを確認しました」
そこへ待ち望んでいた連絡が来た。
…サズリの誤算は、抑えたと思った電伝虫を、1つ、町長の所にあったものを逃した事だ。
だから、思う存分遊んでいた所で海軍を発見し、慌てて逃げ出す羽目になった。
そうなると、問題が生じる。…そう、水だ。水は積み込むのが面倒な上に、必須の物だ。
周辺の町や村に可能な限り、連絡をして、
水場に関する連絡をお願いしていた。
…そこらにしても、どのみち近くの町が襲撃受けたって
話を聞いてたらしく、快く了承してくれた。
そして、その内の1つから連絡が入った。
「じゃあ、行くか。」
…一狩り行こうぜ!