二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ONE PIECE〜そして全てが変わる〜 ( No.6 )
- 日時: 2011/02/11 17:03
- 名前: 高野 蓮 ◆nWrw0f942I (ID: aS9uLd49)
第4話〜出会い(その2)
わしらは、水の補給の為に近場の島に寄った。
本来なら寄る予定なぞなかったのだが、
少し前にやりあった海賊との戦闘で軍艦の一部が破損。
それが水タンクだったという訳じゃ。
…わしの一撃が船を砕いたという見方も
ひょっとしたら出来るかもしれん。
海で真水は貴重じゃ。
どうしたもんかと海図を引っ張り出し艦長らと相談した結果、
この島へと寄る事になったんじゃ。
無人島で、特に要素もない島じゃ。
水場はある。天然の食材もそれなりに豊富だが、それだけ。
正規の航路から若干離れているし、
周囲の海流もよろしくない。
何よりカームベルトの脇じゃ。
迷った海王類が近辺に姿を見せる事もある。
何より危険な毒を持った猛獣も多い。
つまりは危険を冒し開拓する程の島じゃないって事じゃ。
じゃから、森からそやつが飛び出てきた時、
部下達が銃を向けたのは仕方がない。
無人島とされたこの島で森から飛び出てくるなぞ
野生動物の可能性が高い、と判断するのは当然じゃからの。
それでも即撃たんかったのは
飛び出てきた相手が人サイズじゃったからじゃ。
漂流者は、このグランドラインでは可能性がある。
グランドライン。
カームベルトに挟まれた東の海、西の海、北の海、南の海の
四地域とは異なる異質の海。
カームベルトには巨大で、軍艦を一呑みにしかねんような
海王類がおるし、晴れた空が突然激しい嵐になる、
などという天候の激変も珍しい話ではない。
伝説のようで、伝説じゃない現実の話なんぞもゴロゴロ転がっておる。
当然、運悪くそういうのに巻き込まれ船が難破という例は
幾等でもある。
運良く島に辿り着いた例もあるし、
或いは海賊に襲われて気紛れで無人島に放り出された、
或いは海賊共が仲間を置き去りにしたとか、まあ色々じゃ…。
森から飛び出てきたのが人だと確認すると、
わしは部下を制し歩み寄った。
…わしと比較すれば小柄に見えるが、
普通の成人男性としては大柄の部類に入るじゃろう。
大体170〜180といった所か?とはいえ、
まだ若いの。二十歳にもなっておるまい。
「さて…お前さん誰じゃ?」
「…お…おレ…ハ」
ふむ、こいつはこの島に長く一人でいたようじゃな
…そうすると、この島に来た時は子供の可能性が高い
…となれば海賊という可能性は低いと判断する。
人というものは、長く一人で生活していると
相手がいないせいか、必然的に話をする事がなくなる。
会話がなくなると…次第に話す事自体が
困難になってくるんじゃ。
「ああ、無理に話さんでいい。こちらからの質問に
頷いてくれれば、のう?まず確認するが…お前さん、海賊か?」
首を横に振る。
「じゃあ、漂流者かの?」
首を傾げる。
「ふむ?お前さんもう長い事この島におるのか?」
頷く。
…ふむ?
しゃがんだと思ったら、砂浜に文字を書き出した。成る程、ここなら問題あるまい。
『気付いたら、ここにいた。もう何年にもなるが、
それ以前は覚えていない』
「ふうむ、この島にいる前の事は覚えておらんのか…?」
頷く。
ふむ、何かのショックで記憶を失ったか?
海賊に襲われて、頭を殴られたのだろうか?
「しかし、よく生きられたの?」
『昔、ここに住んだ人が遺した資料があった。
日記によると、政府のCPって組織の人が、
仕事から逃げたって書いてあった』
なんじゃと!?サイファー・ポールの人間が…。
それは後で確認せねばなるまい…しかし、そうか。
特殊工作員として彼らは厳しい訓練を受けてる。
島でのサバイバル訓練も彼らは十分なものを持っている筈じゃ。
逃げたとしても、生きていくのに十分な装備を整えてから逃げた筈…
残っていたのがあれば何もないよりはるかにマシか…。
「後で確認の為、案内して欲しいんじゃが…ええかの?」
頷いた。
まあ、これぐらいなら書くより早いからの。
「すまんの。代わりといっては何じゃが、
お前さんの身柄は海軍で責任を持って引き取ろう。
仕事は…良ければ海軍に入るか?」
だいぶ考えていたが、頷いた。
この島で長く暮らしていた上に、島の外の記憶がない以上、
働き先の選択肢がなかったんじゃろう…。
まあ、わしが紹介出来る所など、そこぐらいしかないし、
この海賊時代、悪い選択ではないと思う。
『一つ聞いていいですか?』
ん?なんじゃ?
考えていると向こうが新たに文字を書いていた。
『貴方の名前は?』
おお、いかん。そういえば、まだ名乗っておらんかったな。
「ああ」
一つ頷くとニヤリと笑い、答えた。
「わしは海軍中将、モンキー・D・ガープじゃ!」