二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- #1 扉の鍵 ( No.10 )
- 日時: 2011/02/20 19:20
- 名前: 美桜 ◆QfbalvjOYM (ID: WWHsNPjR)
#1 扉の鍵
扉には堅い鍵がかかっている。目の前には、沢山の鍵。人は、この扉を開くため、扉に収まる鍵を探す。カチャリと音をたてて、扉が開かれるまで-----。
「ルーシィ !!」
あたしを呼ぶ、ナツの声が聞こえる。あたしは、ルーシィ・ハートフィリア。ハートフィリア財閥の一人娘で、妖精の尻尾の星霊魔導士。あたしを呼んだのは、ナツ・ドラグニル。あたしと同じギルド、妖精の尻尾の滅竜魔導士。
「何 ?」
「仕事行こうぜ !! ハッピーとエルザとな !! ……あとグレイも」
「俺はおまけかよ」
ナツの言葉につっこんだのは、妖精の尻尾の氷の造形魔導士、グレイ・フルバスター。ナツとグレイは犬猿の仲。出会い頭に喧嘩する。まったく…こまった二人。
「おい、お前たち !! いいけげんにしないか !!!」
そう言い放ったのは、妖精の尻尾の妖精女王、エルザ。エルザは、いつもこうして二人の喧嘩を止める、凄い人。
あたしとこの三人、それからネコのハッピーを入れたあたしたちは、仲間。今日もこれから、みんなと仕事に行くそうです。
「んじゃ行くぞ !!」
「………って !!! なんでよりにもよって、“幽霊退治”なんて仕事にしたのよ !!」
最悪だ。なにも、あたしの苦手とする仕事を選ぶなんて…。ナツ…わざとね !
「ルーシィ、幽霊が怖いとはなかなか可愛いな」
「エルザも何気に楽しんでる !?」
「「可愛いー」」
「ハッピー ! ナツ ! からかわないでよ。しかも棒読みだし」
皆してからかうなんて…。グレイはなんかクスクス笑ってるし。
「さぁ、入るぞ」
エルザがそう言って入った場所。依頼場所の洞窟。超暗いし…怖いよ………。
コーンコーンコーン。歩くたびに、足音が洞窟に響く。唯一の明りの懐中電灯は一つしかなくて、光が届く範囲が狭い。依頼者のあのおっさん…ナメてる。周りにいる人が誰かもわかんないし…。最悪。来なきゃよかった。
サーサーサー。
な、何 !? なんか今鳴ったよね !?
『コー…ロース……』
「や… !! キャッ!!!」
逃げようとしたあたしを、誰かが抱きしめてきた。誰… ? まさか…幽霊 !!??
「は、離して !!」
あたしがその手から逃れようとすると、あたしを抱きしめてる人が言った。
「ルーシィ、俺だってば。グレイ」
え ? グレイ ?? なーんだ。幽霊じゃないんだ。……って、いやいやいや。グレイでもダメっしょ !? 何この状況 !? いや、それより幽霊の方か…。
「来るぞ !!」
エルザが言うと、姿の見えない何者か-----恐らく幽霊であろうものが、攻撃をし始めた。
「アイスメイクシールド !!」
グレイがあたしの前にシールドを作った。これで一先ず安心ね…あたしは。
ナツとエルザは、感覚で攻撃をかわし、自らも攻撃を仕掛けた。やっぱり凄いよ…。あたしは到底敵わないなぁ…。
「火竜の咆哮 !!」
ナツが攻撃する。一瞬相手の姿が見えたけど、確認しようとすると、また消える。
「サークル・ソード !!」
このまま続くと危ないよね。あたしたちがっ !!
「ねぇグレイ」
「あん ?」
あたしは、隣でシールドを作り続けるグレイに言った。
「天井、落ちてくる」
「……確かに、ヤベー」
その数秒後、天井が落ちてきた。
「……いたた」
「大丈夫か ? ルーシィ」
「うん、平気」
どうにかあたしは、グレイが守ってくれたおかげで助かった。夏たちは ? 幽霊は ?
「くそ !」
声のする方を向く。そこにいたのは、ナツでもエルザでも、幽霊でもない。-----依頼主だった。
「へ ?」
「どういうことだよ、おっさん !!」
「いや、そのだな」
あたしとグレイが依頼主に尋ねていると、丁度ナツとエルザも来た。-----見事に無傷で。
「ま、気にするな☆」
と依頼主。なんなのよ、この人。
「報酬は払うから、ね ?」
------しかし、結局エルザの脅しで依頼主が喋った。
単純な話、依頼主は暇だったという。半年前まではギルドにいたそうだが、引退し、暇だったのだと。あー、幽霊じゃなくってよかった…。
「じゃあ、さようなら !!」
そう依頼主に告げ、ちゃーんと報酬をもらい、ギルドに戻った。
-----あたしはまだ気づかなかった。扉はまだ開かれないけれど、鍵は見つかったのだと。あたしはまだ知らない。あたしは恋をしているのだ、と…。