二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 稲妻大江戸目録 二 ( No.107 )
- 日時: 2011/03/27 16:11
- 名前: 蒼月白星鏡(別PC (ID: khxqjExY)
- 参照: 暫くは別PCでの更新になりそうです('・ω・`)
少年は、傍にあった椅子に腰掛けた。
「本当に久しぶりだね、円堂」
声は先程とは違い、少女らしい声だ。
声の主は同じだが。
「何処行ってたんだよ?」
「旅だよ。格好を見てわからないの?」
「それは変装だろ」
別の少年がツッコミを入れる。
白く逆立った髪が特徴的だ。
「豪炎寺、剣の腕は?」
豪炎寺と言うらしい。
「それなりに上がった」と、お茶を飲みながら言う。
「そっか、それなら良かった」
「いい加減、此処ならその格好をしなくても良いんじゃないか」
「相変わらず冷たいね、鬼道」
此処らでは珍しいゴーグルと、マントを着けている。
髪型はドレッドヘアーというものだ。
「まぁ、脱ぐつもりは最初からあったけどね」
「だったら最初から脱げ」
「はいはい」と嫌らしく笑いながら、合羽を脱いだ。
三度傘も取ると、少年とは思えぬ姿をしていた。
黒い髪が、一つに纏められており、姿はまるで女剣士。
纏めていた帯を取ると、髪は重力により、さらりと落ちた。
懐から髪飾りだと思われる金具を二つ取り出すと、両サイドの髪を一つずつ纏めた。
少年は、少年ではなかった。
少年は女だったのだ。
つまり、少女と言うことになる。
「・・・本当に久しぶりだな、
未来」
彼女の名前は【時空 未来(ときそら みらい)】
見た目は何処にでもいそうな少女だが、実は、日本一強い剣豪である。
元々は、此処にある少年達が所属している『彩染衆』のリーダー的存在だった。
しかし、ある日をきっかけに引退。
現在は旅をしているのだ。
「しっかし、「刀狩」が急激に増えたよなぁ」
「刀狩」とは。
元々は、安土桃山時代に豊臣秀吉が行った禁止令。
百姓に武器を持たせるのを禁じたものだ。
しかし、現在の刀狩は違う。
その名の通り、刀を狩る者を指すのだ。
元々、刀はこの小説だと貴重な物。
外国の剣を元にして作られたので、相当な技術がないと作れない。
なので、一般民は勿論、侍も実力ある者しか持つことが許されないのだ。
そして、刀は売るとボロ儲けする。
それ目当てで、刀狩を行う者が多いのだ。
他にも、刀を持つことにより自分の力・武器の増強という意味もある。
『彩染衆』は、その刀狩を食い止める者が集う集団。
彩染衆の者は、全員刀を持っている。
そして、実力ある者しか入ることが許されないのだ。
彩染衆で一番実力があり、リーダー的存在といえるのが"円堂守"である。
「確かに、多くなったね。さっき雷帝大通に寄ってみたけど、刀狩がいたよ」
「それは本当か?!」
円堂が体を乗り出す。
「うん。だけど、すぐに倒したよ。峰打ちだし、死にはしない」
「・・・さらっと凄いこと言ってないか?」
真顔で言うので、無理もない。
「気のせいだよ」
「「(少なくとも、未来の峰打ちを受けた人物は背骨が折れていないことを祈るが)」」
「そうそう、その刀狩さぁ。見たところ、侍っぽかったよ」
此処にいた少年全員が目を丸くした。
「あくまで、"見たところ"だけどね」
「・・・遂に幕府も動き出したか」
舌打ちしながら、鬼道が言う。
「そうそう、ここに来たのはそれだけじゃないんだ」
忘れていたかのように、未来が言う。
「何だ?」
「外国の話だよ」
「外国?」と一同が頭に疑問符を浮かべる。
「最初に、外国でも刀狩が始まった」
「「「「?!」」」」
刀狩は日本で生まれた筈なのに、外国でやっている。
刀狩が外国へ渡ったのだろうか。
それならば大変だ。
しかし、未来が円堂達の心理を突いてきたかの様に説明した。
「外国で行っている刀狩は、日本の刀狩を真似たものだよ」
「刀狩を・・・真似た?」
「最初は興味本位でやったんだろうね」
外国は、日本とは違い、武器に対しての価値観は薄い。
何故なら、日本とは違い、武器を作る職人が多いからだ。
「けれど、それがある理由で広まった」
「ある理由・・・とは何だ?」
「一つは"武器改良"」
「あぁ、あの制度か・・・」
豪炎寺と鬼道が納得しているような素振りを見せる。
「騎士」と言う言葉をご存じだろうか。
古代ギリシャ・ローマで作られた、兵士の様なものだ。
この騎士が、日本以外で感染的に伝わっているのだ。
日本で言う侍、と言えばわかりやすいだろうか。
外国の騎士は、日本で言う侍の立場、と言うことである。
その騎士の実力ある者のみに、その騎士の武器が改良される制度が作られたのだ。
「実力ある者だけが武器を改良するなんて、ズルいでしょ?」
「まぁな・・・」
「そしてもう一つが、『獣剣』の出現」
「「「「???」」」」
流石に、この言葉には全員聞き覚えがなかった。
「"獣剣"って言うのは、伝説の生き物が封じられた剣のことを指すんだ」
「そんなこと、出来るのか?!」
確かに、魔法が使える世界だが、有り得ない話だ。
「現在は無理みたいだけど、古代とかそのくらいの時代では出来たみたいだね」
「獣剣が見つかった、と言うことか?」
「そうそう。だから、現在時点だと獣剣が増えることは無いみたい」
安心して良いのかどうかわからない。
「・・・で、その獣剣とやらは、どんな能力を持っているんだ?」
核心を突く質問。
「んー・・・今のところは不明だけど、獣剣は必ずしも剣を指す訳じゃないって言うのはわかったよ」
「そうなのか?」
「あくまで、伝説の生き物が封じられている武器のことを纏めて獣剣って言うんだってさ」
未来の説明が一通り終えると、重い空気が広がった。