二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Ep6 ( No.11 )
日時: 2011/03/06 12:21
名前: 蒼月白星鏡 ◆kuB5mqYaRs (ID: khxqjExY)
参照: 地獄から這い上がって来ました。来るな、と思った方は御免なさい。

星翔中の敷地内に入った途端、生徒達の目は恐怖に満ち溢れた。



それは誰でも分かったが、口に出す者はいなかった。



「まずは、此処の理事長に会わせなきゃいけないね。」



「態々自分から言うのね。」



「それが礼儀ってものでしょう?」



廻幽について行くと「理事長室」と書かれたドアを見つけた。



「じゃあ、僕は此処まで」



「えっ」



「僕が入れる身分じゃないし、入れたとしても長い話に付き合うのは嫌だから」



「そ、そうか…」



「じゃ」と言うと、背を向けてスタスタと歩いて行った。



「雷門中の皆さんですね、お入り下さい」



何処からか綺麗な声がした。恐らく理事長の声だろう。



「失礼します」



遠慮せずに扉を開け、瞳子・夏未・円堂の3人は入っていった。



中に居たのは、白髪で、着物を着た綺麗な女性だった。



「貴女が…星翔中の理事長ですか?」



「えぇ、そうですよ。もしかして、理事長が女だったことに驚いたんですか?」



「えっ?! いや、その…」



「別にいいんですよ。大概の人の反応はそれだと思いますし」



「お名前は?」



「あっ、申し訳ありません。自己紹介が遅れました。
   私の名前は"神癒羅季(かみゆ らき)"と言います」



「そうですか。 早速ですが、『時空未来』についてお聞きしたいのですが…」



瞳子の質問を聞いた途端、羅季の顔は暗くなった。



「…誘君から話を聞いていると思いますが…」



「何故、それがわかるのです?」



廻幽が話したところは外で、中に居た筈の羅季が知っている訳が無いからだ。



「…誘君は、興味を示した人には真実を話す癖があるんです」



「真実…?」




「此処に来るのは、時空未来目当ての人しか来ないんですよ。
 けれど、時空未来はもういない。だから、私達はその事を聞かれた時は、『死んだ』と答えるのが当たり前なんです」



「理由も言わずに」と続けてつけ足した。



「何で、理由を言わないんですか?」



「正直、自分でも良く分からないんですよ。でも、理由を言わない方が未来ちゃんの為だと思って…」



「お言葉ですが、それは貴女の勝手な理想では?」



「…そうね。唯の我儘よね。でも、何故か皆は納得したのよね…」



暫くの沈黙。



「…ですが、サッカー部を無くすのにそれが理由となるのですか?」



沈黙を破ったのは、瞳子だった。



「未来ちゃんが居た時は、最強と言っても過言では無かった。でも、死んでからは一気に弱くなっちゃったのよ」



「…弱体化したから、サッカー部を廃部にしたと」



「正確には、"させた"の方が正しいわね」



羅季の言葉に、3人は疑問符を浮かべる。



「弱体化したサッカー部は、部員たち自ら廃部にしてくれと頼まれたのよ」



「(それなら、無くなったのも無理はないわね…)」



生徒の頼みが理由だからだ。



そう考えていると、戸が叩かれる音がした。



「誰でしょうか?」



「僕です、誘です」



「何かあったのですか?」



「いえ、円堂君に用があるんです」



廻幽の言葉に、円堂は「俺?」と発した。



「構いませんけど…」



返事をすると、廻幽は戸を開けた。



「廻幽、俺に用って…?」



「今の時刻は…午後1時。円堂君、2時になったら運動場に来てくれないかな?」



「え、一体どういう 「そうそう、雷門イレブンの皆も集めてね」 おい、廻幽!」



円堂の言葉を遮り、廻幽はすぐにその場を去ってしまった。