二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 流星物語 Ep1 ( No.115 )
- 日時: 2011/03/28 15:45
- 名前: 蒼月白星鏡(別PC (ID: khxqjExY)
- 参照: 「ポケダン時・闇」の話でごぜぇます!
【星の光と清き水と】
「…」
「……」
「………」
黄色い鼠が、目を覚ましたようだ。
「うっ… こ、此処は……」
重い瞼(まぶた)を、力無き体で開ける。
開けるだけなのに、とても肉体的に辛かった。
「…此処は何処だろう……」
一言言うだけで、精一杯の様だ。
「だ…駄目だ…… い、意識が………」
一言残して、また眠った。
「うーん…」
一匹のペンギンが、変な建物の前で迷っている。
「いや、こんなことしてちゃ駄目だ。今日こそ、勇気を振り絞らなくちゃ…!」
ブツブツと独り言を終えると、ペンギンは地面にある柵の上に乗った。
「ポケモン発見!! ポケモン発見!!」
「誰の足形? 誰の足形?」
「足形はポッチャマ! 足形はポッチャマ!」
「うわぁ!! び、ビックリしたぁ〜!!」
地面からの姿無き声に驚き、思わず退いてしまった。
「ふぅ…」
一息つくと、またもや独り言が始まった。
「………駄目。結局入る踏ん切りがつかないよ…
今日こそ! …と思ってきたんだけど……」
ポッチャマは、何かを握っていた手を、開いた。
「この宝物を握りしめていけば、勇気も出るかと思ったんだけど…」
石には、説明しようがない摩訶不思議な模様が描(えが)かれていた。
「あぁ、駄目だなぁ… 僕って本当に臆病者だよね…… こんな自分が情けないよ………」
自分で自分を納得した。
独り言が終わると、肩を落としながらその場を去った。
その光景を、影ながら一通り見た者がいた。
「おい、ズバット。今の見たかよ?」
「あぁ、勿論だぜ。ドガース」
「さっきウロウロしてた奴… アイツ、何か持ってたよな?」
恐らく、石のことだろう。
「あぁ。ありゃぁ、きっとお宝か何かだぜ!」
「狙うか」
「おう」
お互いニヤニヤ笑うと、先程のポッチャマを追いかけていった。
赤い蟹が、泡を吐き出している。
その泡が、夕日に移り、輝いている。
一つ一つ、違う色で輝き、美しい。
ポッチャマが、その光景が見られる海岸に出向いたようだ。
「わあ〜! 綺麗だぁ!!」
ポッチャマの目が、人一倍輝いている。
「此処は天気が良いといつも、クラブ達が夕方に泡を吹くんだけど…」
どうやら、赤い蟹は"クラブ"というポケモンらしい。
「夕陽の海に沢山の泡が重なって… 本当に、いつ見ても綺麗だよね」
「…………………………」
独り言のせいで、謎の沈黙が広がった。
「僕、落ち込んだ時は決まって此処に来るんだけど… 今日も来てみて良かった。
此処に来ると、いつも元気がでてくるよ」
こんなところで自分の生活を暴露しても良いのだろうか。
「ん…? あれ、何だろ?」
どうやら、何かを見つけたらしい。
恐る恐る、近づいてみる。
「?! 誰か倒れてるよ!」
目線の先には、黄色い鼠が倒れている姿が。
急いで、駆けつける。
「君、どうしたの!? 大丈夫!!?」
「……うっ」
意識が戻ったようだ。
「あっ 気がついた!良かった〜!」
「…こ、此処は……?」
「動かないから心配しちゃったよ!君、此処で倒れてたんだよ?」
「…ハッ!」
黄色い鼠は、何かに気づいたようだ。
ポッチャマは、頭に疑問符を浮かべる。
「曲者ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!」
「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!!」
次の瞬間、ポッチャマは黄色い鼠に蹴り飛ばされた。
—続—
これが全ての始まりだったり。