二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

稲妻大江戸目録 一 ( No.91 )
日時: 2011/03/25 14:26
名前: 蒼月白星鏡 ◆kuB5mqYaRs (ID: khxqjExY)
参照: 『表裏一体』で行っている恋愛リクエストは今日が締切です!

江戸時代。



徳川将軍家によって日本が統治されていた時代である。



そして、此処は「雷帝町」。



元々、「雷門町」と「帝国町」に分かれていたが、仲が良かった事もあり合併(がっぺい)。



そんな雷帝町に在る『雷帝大通(らいていおおどおり)』。



商売で賑わい、子供の遊び場所としても有名だ。



そこに股旅の格好をした人が歩いていた。



江戸時代である為、当たり前だろう。



三度笠で顔が見えない。



合羽を靡(なび)かせ、紺の縞(しま)模様が目立つ。



身長からして、少年くらいだろう。









「オラオラオラァ!刀を寄こせェ!!」



荒い言葉が辺りに響いた途端、今までの賑わいがまるで嘘だったかのようにピタリと止まり静まった。



町人達の顔を見ると、恐怖で満ち溢れている。



沢山あるいていた人も、右か左に集まり、道を歩いているのは、股旅の格好をした人だけとなった。



遠くを見ると、侍の格好をした男が、町人を襲っていた。



「か、刀ですかっ?!」



「あぁ、刀だァ!」



「持っていません!そんなの、僕が持つ身分じゃないですっ!!」



「ケッ、そうかよ… だったら用はねェ!!!」



町人の首元を掴むと、家に向かって乱暴に投げ飛ばした。



「父ちゃん!」



「あんた、しっかりしなさい!」



遠い為、姿は見えないが、気を失ったことは確かだろう。



「…」



無言で、ただ歩く。



方向は、男がいる場所。



カチャリ、と音を鳴らした。



歩いたお陰か、男は気付いた様だ。



「オイ、テメェ」



「何でしょうか?」



声は少年の様な声だった。



しかし、人によっては少女の声にも聞こえる、不思議な声だ。



「刀、持ってるな?」



「小刀なら」



「いいや、小刀ならそんな音は出せねェ筈だ」



「成程、見た目の割には賢いんですね」



「何だとォ?!」



どうやら、切れてはいけないものを切ってしまった様だ。



「ヘンッ、俺様を怒らせたこと、後悔するがいい!」



男は、腰にあった刀を鞘から抜くと少年に斬りかかった。



「お前の刀ァ、貰ったァァァァァァァァァァッ!!!」



「貰った、ねぇ…」

























何が起こったのか、分からなかった。



町人達は、驚きを隠し切れていない様子。



少年は、先程と変わらず、立っている。



変わったのは、立場だ。



明らかに、立場は男の方が有利だった。



しかし、今は違う。



男が倒れているのだ。



口からは大量の血。



少年は、何事も無かったかのように見つめる。



「大丈夫、峰打ちだから。死にはしないよ」



そう言い残すと、その場を去った。



「どういう…ことだ…?!」



「あたしゃ、早過ぎて何が何だか分からんかったよ!」



「そりゃあ俺だって同じだ!」



「あいつ、何にもしてなかったぞ?!」



町人のざわめきだけが、残った。















人気が全くない、雷帝大通。



先程の賑やかさとは、全く違う。



店を見ると、どれも『閉店』と書かれた文字が。



この先、永遠にそうなのだろう。



「…久し振りだな」



男と戦ったと思われる少年が、店と店の僅(わず)かな細い間に入る。



途中で歩くのを止めると、視界からして右の焦げ茶色の壁へと体制を変えた。



何もないのに、少年はコンコンと叩いた。



ただ、叩くリズムが違う。



「トン、トトン、トトトン、トン、トトン」という感じだろうか。



「…久し振りだな、入って良いぞ!」



壁の中から声がした。壁の中に人が居る筈がないのに。



声は小さいが、とても元気が伝わる。



少年は、背を壁につけた。



すると、壁が一回転した。



そして少年の姿はなくなった。
























少年は、壁の中に入った筈だった。



しかし、壁の中は、広い部屋。



中央の大きな机が目立つ。



そして、中には人が居た。



刀を持つ、少年達が_____