二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: †BLACK†REBORN!◆第21夜UP◆ ( No.318 )
日時: 2012/06/10 15:36
名前: ちぃ ◆BtgqVElJ1I (ID: JbPm4Szp)
参照: http://x110.peps.jp/kokyon7314/free/?cn

300スレ記念 【怪盗少年Ⅲ 少年は空を仰ぎ見る】


チュン  チュン


鳥の鳴き声が聞こえる


どうやら朝になったようだ


またブラックを追いかける一日が始まったのだ


時計を見ればいつもよりも早く起きてしまったようだ


短い針は6をさそうとしているところだった


「…それもそっか…」


というのも昨日隣に引っ越してきた少年が気になって全然寝れなかったのだ


彼はなぜこんな高級マンションに住んでいるのだろうか


一人で住んでいるのだろうか


「…実はすっごいお坊ちゃんとか…?…いやいやいや、まさかなっ!」


という綱吉の独り言が以外にも当たっているというのは誰も知らない


「よし、起きるか…」


とりあえずベッドから這い出て昨日コンビニで買った菓子パンを開け口に含む


「ふぁぁ…にしてもねっむ・・俺こんな早く起きたこと今までにあったっけ…」


ダメツナというあだ名を中学の時に命名されたときからテスト勉強の為早起き、や遅刻しないように早起き、なんてことは生まれてこの方ない


「…まあだから雲雀さんに咬み殺されまくったのか…」


雲雀は綱吉の中学の先輩だった。そして風紀委員長の雲雀は遅刻指導と称して綱吉をばしばし…いや、バキバキといたぶったことも多々あった。


そしてその時のことを思い出し遠い目になる綱吉


「高校まで一緒だったっていうのが災難だったよなぁ…」


俺よく頑張った…と現実逃避を始めたころガラリと窓が開く音が聞こえた。


「ん?」


自分は開けていない。そしてこの階にはもう一つしか部屋がない


ということは


「白鳥さん…?」


なんだか昨日のこともあり気になったのでベランダにカラカラ…と静かに気づかれないように出て左のベランダを隙間から覗いてみる


すると昨日までなかったたくさん置かれたプランターに葵が水撒きをしているところだった


横顔しか見えなかった葵は白い肌が太陽に照らされキラキラと輝いているようだった


(昨日は動揺してあんま見れなかったけど綺麗な顔だなぁ…)


葵は綱吉に気づいていないのか水を撒きながら夏空を仰ぎ見る


そしてそこでようやく気付いたようで葵がこちらを見た


「あ、沢田さん。おはようございます」


と言って笑った顔はやはり年相応だった


「お、おはようございます!」


すると葵はくすくすと笑い始める


「え、えっ!?」


状況が読めず戸惑う綱吉に葵はいう


「僕は敬語が口癖のようなものなので沢田さんは別に敬語じゃなくていいですよ」


「え、でも…」


「それに僕より年上ですよね、葵でいいですよ」と言う葵の申し出に戸惑いながら「じゃ、じゃあ葵くんで…」といった


「葵、くんは早起きなんだね」


「ええ、もうこの生活に慣れてしまって。」


「そのプランターは…」


「ああ、これは唯一の趣味というか…そろそろ夏なので花でも植えようかと思いまして…」


「ええっ!?す、すごいねっ!!」


花を植えるだけ、なのに凄いという綱吉の反応に今度は葵が戸惑う


「えっと…植えるだけですよ?」


「で、でも俺なんかすぐ枯らしちゃうから凄いよっ!!」


「そう、ですかね…そんなふうに誰かに褒められたのは久しぶりですね…」


なんだか照れくさいです。といって照れ笑いをする葵はやはり年相応だ


「ってやばっ!!遅刻するっ!!」


「お仕事ですか?」


「う、うん!せっかく早起きしたのに!!」


「すみません、僕と話してたせいですよね」


「う、ううん!!違うよ!俺が楽しくって…じゃ、じゃあ行ってくるね!!」


「あ、行ってらっしゃい」と反射的に言うがふと綱吉を最後に、と呼び止めて聞く


「ちなみに沢田さんはなんのお仕事をされているんですか?」


「あ、一応刑事で…」


「え…」


葵の一瞬戸惑った顔を見て綱吉は続ける


「お、俺なんかがやっぱおかしいよねっ…」


そして一瞬の間をおいての葵の返答


「いいえ…素敵な刑事さんだと思いますよ」


そういった顔はもう元の笑顔に戻っていた


「じゃ、じゃあね!」


綱吉の部屋の窓が閉じる


「…」


葵はまた夏空を見上げる


「欲望にまみれた人間なんかよりよっぽど綺麗だ」


という言葉は青く広がる空に消えた


すると葵の部屋の窓がガラッと開く


「まさかお隣さんが警察だったなんてね〜♪」


「…五月蠅いですよ」


「あんなへなちょこなのが警察なんてね〜♪」


「…聞こえてます?”アリス”」


アリス、と呼ばれた少女は笑う


「聞こえてるけど面白いからさ〜」


「…」


「もしアイツも葵を追ってたとしたら…どうする?」


その問いに葵は愚問だなというようにハッと笑った


「どうする?どうするもこうするも邪魔するなら潰すまでですよ。」


そうだ、葵はこういう人間だったのだ。嘲笑う葵の顔を見て思い出した。


「…あんたには愚問だったね、じゃ、私も紅のところ行ってくるかな〜」


けれど「紅」という言葉にぴくっと反応をする葵を見てアリスはニヤリと笑う


「やっぱり大事な”姉さま”相手には手は出せないか〜」


「ほんっとうに貴女は馬鹿ですね」


「馬鹿!?」


「僕がこうして盗むのは姉さまの為でもあるというのも忘れないで下さいよ」


「…はいはーいっと。じゃ行ってくるわ」


「えぇ…」


バタン


そして一人残された葵はまた空を仰ぐのであった_____


To be continue …