二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: †BLACK†REBORN!!第22夜UP☆ ( No.340 )
日時: 2012/08/01 10:58
名前: ちぃ ◆BtgqVElJ1I (ID: JbPm4Szp)
参照: http://x110.peps.jp/kokyon7314/free/?cn

第23夜 【九尾弧】


「その狐を下ろせ」


そう言われたとおりに床に下ろす


「貴女の正体は分かっています、おとなしく姿を現しなさい」


そういう葵の問いかけに対してまったく意味が分からないというように「くぅーん」と鳴く狐


「そうですか…そちらがその気なら」


そういい銃を狐に突き付ける葵、それに骸が「待ちなさい」と言う


「ただの狐ですよ」


「だったらよかったんですけどね」そういい次の瞬間には弾丸を放っていた


ガァンという銃声の後で狐が居たであろう床をはっと見る


だがそこにはあるはずの…いや、なくてはならないはずの狐の死体はなかった


「!?」


「姉さま、お出ましのようですよ」


「嗚呼、そのようだな」


そういいベッドのほうを向けば豪華な刺繍や装飾が施されたきらびやかな着物を着流している青年が寝ていた


「あーあ、最近の子供は人の睡眠邪魔するのがどれだけ重罪か分かってねぇーなぁ。あげくの果てにはか弱い狐ちゃんにまで銃を向けやがる」


青年の輝く金色の長い髪は毛先に向かうにつれ緋色へと色を変えている


「これ、は…まさか狐は狐でもまさか九尾狐だったとはな…」


「一体どうなって…」


骸のその呟きを聞き青年は「嗚呼」と言う


「礼を言うぞ、てめぇのおかげで助かったんだからな」


「僕ですか?」


「それは…どういう意味だ?」


「一昨日、やっとの思いで封印解いたはよかったんだけどな。あの封印を解くので妖力ほとんど使っちまって、そっから野垂れ死にそうになったところをコイツに拾ってもらったんだよ」


「ええ、まあ…なんとなくですよ」


「ついでにコイツの妖力ちょっと頂いて体力回復中だったわけだな」


「まあ貴方がどうしてここにいるのかは分かりましたよ。でもね、貴方をこのまま野放しにはできないんですよね」


そういって葵が銃を構える


「残念だがそんな玩具じゃ俺様は殺せねぇな」


「だとしても日本三大妖怪と言われるあなたをこのまま放置するのも如何なものかと思いますがね」


「はっ!俺様が強いんじゃねぇよ。他の奴らが弱すぎるのさ」


二人のにらみ合いを止めたのは紅だった


「まあまあ、二人とも今日はお互い静まろう、このことはとりあえずヴィクトリカに報告して…」


「…ヴィクトリカっつーと魔界の?」


「嗚呼、知っているのか?」


「まあな、仮にも俺たち妖怪の頭だからな」


「てことはヴィクトリカより弱いってことですかね」


「んだとごら。」


そんなわけではないが一応従っているだけだというように言う


「ほら、葵も今日の目的はもう果たしたんだから帰るぞ!」


「…はーい」


それじゃあという風に紅は骸とクローム、さらには狐にまでお辞儀をして礼儀正しく出て行った(おわかりだろうが葵に至ってはお辞儀どころか挨拶すらしていない)


バタンと扉が閉じた


「はぁ…クローム向こうに行っていなさい」


「はい」


クロームも退室させた後「さて」と狐に向き直る


「貴女を拾ったのは気まぐれです。もう体が大丈夫なら出てってください。」


「そーだな、ここ人間臭いし人間に干渉するなんて馬鹿なことだとは思うがなぁ…」


青年はその金色の瞳を骸に向け笑った


「たまーに凄くおもしれぇ」


「…」


「ただな…盗み聞きとは感心しねぇな」


そういうと壁から無数の妖怪がすり抜けてくる


「なんですかコイツらは…」


「こいつ等は式神さ、俺様の封印が解けちまったんで追っかけてきたってとこか」


「迷惑な狐ですね。」


「狐じゃねぇ!俺には焔(ほむら)って名前がちゃんとあるっつーの!」


「そんなこと言ってる間に迫ってきますけど」


そういうと焔は舌打ちをしてから「めんどくせぇ」と言い式神を睨み付けた


するとたちまち式神たちは床から現れた円形の業火に囲まれ焼かれ消えてしまった


「式神如きで俺様を倒せるとでも思ったんだか」


「これではっきりしましたね。貴方がいると厄介なことが起きる。出てってもらいましょうか」


「はぁ」と焔はため息をつき「なあ取引しねぇか」と言った


「取引?」


「おめぇは俺を妖力が回復するまでここに置く、俺はさっきみたいな輩をぶっ殺す、どうだ悪くねぇだろ?」


その提案にふむ、と骸は考える


「あれらは僕らでは倒せないのですか?」


「倒せねぇことはねぇがそのためには退魔効果のある武器を使わなきゃなんねぇな。人間共は銃で死ぬが妖怪となるとそうはいかねぇってことだ」


「…いいでしょう。けれど回復したらすぐに出てってくださいね」


「嗚呼、それはいいんだが…お前俺様に上から目線過ぎねぇ?」


「置いてやっているのだから当たり前でしょう」


「お前なぁ…仮にも俺は日本三大妖怪ともいわれ恐れおののかれるだな…」


「はいはい、狐ちゃんでしたね」


「って聞けよ!!この小童がっ!!!」


「はいはい」





こんな口喧嘩は夜の狭間へ消えていったのだった___