二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: †BLACK†REBORN!!第23.5夜UP☆ ( No.367 )
日時: 2012/09/30 22:07
名前: ちぃ ◆BtgqVElJ1I (ID: z5ML5wzR)
参照: http://x110.peps.jp/kokyon7314/free/?cn

第27夜 【天使に悪魔の裁きを】


「ルシフェル様、えぇ…やはり奴は侮れないようですわ」


鏡の前に立つのは全身白づくめ修道女服のアルマロス


『もはや生死は問わない、奴らを抹殺しろ』


「御意」


辺りにまた静けさが漂う


時刻は夜中の12時


月が爛々と輝く


「今夜…奴らを殺してやりますわ…けれど殺すのはワタクシではない…最愛の人に殺してもらいましょう」


ふふふ、という不気味な笑い声だけが響く








***


三時間前




「どうもぉ、こんばんわぁ」


「うぎゃぁああああああああ!!!」


「そんなに驚かなくてもいいじゃないですかぁ…」


いきなり窓からこんにちわしたのはまたもや魁であった


「ご、ごめん…なさい…(?)」


あれ、なんで俺謝ってんだろう。と思いながら謝る綱吉に魁は「いえいえ」という


「で、ご用件は…っと…魁…さんでしたっけ…?」


「魁でいいですよぅ」


この間延びした感じが不気味なのは俺だけなのかと綱吉は思う


「で、ご用件は…?」


「嗚呼ヴィクトリカ居ますぅ?」


「多分となりの部屋に居るかと…」


「そうですかぁ…じゃあ伝言頼んでいいですかぁ?」


「あ、はい」


「じゃあ」と放った言葉はまさしく意味不明


「今夜は一荒れすると、あとこちらはこちらで殺っておくのでご心配なくと言っておいていただけますかぁ?」


「あ、はい……はい!?」


「でわ」


「あ、ちょっと!!」


窓枠に腰かけていた奴は後ろにそのまま倒れて窓から落っこちた


二階なんですけど。


俺は反射的に窓から身を乗り出し下を見る


だが下には何もなくホッと息をつく


「ん?…でも殺っとくって…」


うーん、やっぱりよくわからない人だ。と唸る


「ていうかどういう意味だったんだろ…」


部屋には一人でやはり誰も返事はしないので頼まれた通りヴィクトリカに言いに行く


コンコンという乾いたノックの後に「入れ」という声が聞こえて開ける


「ヴィクトリカ?さっき魁さん…じゃなくて魁が来たんだけど…」


「用件はなんだったのだ?」


「なんか『今夜は一荒れすると、あとこちらはこちらで殺っておくのでご心配なく』だって」


「…そうか、まあ奴らに任せておけば安心だな」


「ねぇ、それってどういう意味?」


「今夜敵が攻めてくるが魁"達"に任せておけとそういっているのだよ」


「えぇ!?て、敵ってそれ…やばくないの…?」


「多分敵は何回かもう攻撃を仕掛けてきていると見て間違いはないだろう。物理的な攻撃ならとっくに気が付いていてもおかしくない、」


「つまりだ」というように無駄に豪華な椅子に座っているヴィクトリカ(ちなみに部屋も勿論すでに改造済みだ)は俺をじっとみていう


「相手は物理的な攻撃を得意としない、精神面にダメージを与えるタイプとみて間違いはないであろうな」


「精神…?」


「嗚呼、お前らの言う幻術だって直接体に攻撃を受けているわけではないであろう?つまり、内面。心を壊しに来ているのだ。例えばそれは幻術だったり、心理的なものだったり…夢だったり、な」


「夢…あ…そういえば最近よく悪夢見るような…」


「おそらくルシフェルの手下であろうな…」


「ていうかそんなことできんの!?」


何をいまさら言うんだという呆れ顔でヴィクトリカはいう


「お前、死んだ人間が生きかえってるのを見てまだ言うのか」


そうでした。


「そういえば葵も紅も一回死んでるんだよね」


「嗚呼。ばっちり死んでるな」


「HAHAHA」


「なんだ急に片言になって」


キモチワルイ…と大層嫌そうな顔をされる


「いや、だってよくよく考えたら俺の周りやばいよね…」


「何がだ?」


「だって…」と綱吉は言う


「だってさ…同居人は魔界の王女様で、つい最近できた友達は悪魔と天使とゾンビですって…俺カオスすぎない…?」


「まあまあ、人生それくらいはちゃめちゃな方が面白いではないか」


「うん、もう俺マフィアのボス候補ってだけで結構逝っちゃってると思ってたんだけどね…」


そんな他愛のない会話から三時間後



「うふふ…皆悪夢で殺してさしあげましょう」


黒い大きな笛をアルマロスは取り出すと構え吹く


その音は不協和音を奏で並盛中に響き渡る


「うふふ…吹いてしまえばこちらのもの…あとは自分の夢に殺されるだけ…」








「へぇ、随分物騒なものをもっていらっしゃるんですねぇ」


「なっ!?」


「ああ、いきなり背後からすみませんねぇ〜」


嫌に間延びした奴の声が闇に響く


アルマロスの背後には紫の奴がいた


「何故…ここに…っ」


「何故って言われましてもねぇ…あんなに大きな音で笛を奏でられては…それにあなたの攻撃は夢からのものであると気が付いていましたので…それさえわかれば寝なければいいだけですよぉ」


「…少し驚きましたけれどワタクシ、夢だけが取り柄じゃないんですのよ」


「…」


「貴方の夢拝見いたしましたわ」


「…」


「随分思い入れた方がいたようですわね」


「…」


「その方に殺されるとなっては苦しいでしょう…うふふ」


辺りに霧が立ち込める


再び霧が晴れたころには彼女の姿があった


「…やはり貴女の仕業でしたか」


「クラウス…」


夢で見た彼女がここにいる


「お嬢…様…」


「貴方を…私は殺さなきゃいけない…だって…だってっ…貴方が私を殺したからッ!!!」


「!!」


「貴方をずっと待ってたのに貴方は来なかった…」


「あ…」


「ずっとずっと待ってたのに!信じて待ってたのに!」


「ッ…」


「だから…貴方を殺して…これからもずっと一緒にいましょう…?お願い…私を一人にしないでッ!!」


そういう彼女の手には短剣が持たれている


「僕の…せい…」


「そう…でもいいの…これからずっと一緒よ…」


言いながら走ってくる彼女は泣いている


「残念ですねぇ」


「!!!」


一瞬の隙に彼女の左顔面に持っていたステッキを入れる


そのまま彼女はステッキに抑えられてコンクリートに叩きつけられる


「かはッ!!」


「実に残念ですよぉ、僕、そういうの興味ないんですよねぇ」


「何故だッ…!この女はお前にとって大切な女じゃッ!!」


「えぇ、でも僕死ぬ気ないんで」


「誰でも死んでしまった愛した人に死のうと言われれば心が揺れるはず…!」


「じゃあ、僕は例外ですねぇ?」


くすくすと笑う魁にアルマロスは唇をかむ


「こうなれば武力行使ですわね…!!」


魁のステッキから逃れたアルマロスは隠し持っていた銃を構える


「ほぅ、僕とやり合う気ですかぁ…」


「ルシフェル様の命は絶対ですのよ…!!!」


「ふぅん…それこそ…興味ありませんねぇ」


ズガン、と銃を放つアルマロスの攻撃を紙一重で避ければ打たれた場所に魔方陣が浮かび上がる


「魔装銃ですかぁ」


「その通り…貴方がもはや通常の攻撃では死なないことをワタクシ知っていますのよ…」


その魔方陣に捕まれば拘束され業火に焼け死ぬ、そういうアルマロスは攻撃をやめない


「けれど所詮は銃、懐に入ってしまえば僕の方が有利ですよぉ…!」


「!!」


アルマロスの懐に入った魁はステッキを再び振りかざすが頭に魔装銃を構えられ止まる


「…ッ!?」


「ワタクシ…トゥーハンズですの…!!」


寸でのところで上体を逸らせ避ける魁に追い打ちをかけるようにアルマロスは連射をし続ける


「しまっ…!」


「捕えましたわよッ!!」


次々と繰り出される攻撃に足元をすくわれ魔方陣に右足を踏み入れた魁は攻撃どころか指一本動かない


次の瞬間魔方陣から紅い炎が上がり魁を焼き尽くす


「くッ…!!!」


「残念…なのはこちらのセリフでしたわね。まさか大罪人の貴方がこんなに弱いなんて思いませんでしたわ…バルバトス様」


「ぐっ…!!」


「貴方のことはすべて知っていますのよ…?貴方があの人間の女にはクラウスと名乗り、現代では魁と名乗り、元は悪魔界で恐れられたバルバトスという名だったということも」


「けれど」とアルマロスは付け足す


「そんな過去も無意味でしたわね…今から貴方は死ぬのだから」


アルマロスの話している内も魁は業火に焼かれ続ける


辺りには肉の焼ける嫌な匂いが立ち込める


「では、しかと貴方の最後を見届けて差し上げましょう…うふふ」


魁は呻く


「ほら、あと少しで腕が焼け落ちる……」


すると魁は動けないはずの腕を無理やり動かす


「…今更何を…」


「ふ…ふふ…ふははははははッ…!!!!!!!」


いきなり笑い出す魁に不気味さを覚えながらもアルマロスは問う


「何がおかしいのですッ!!」


「そう…ですか…貴女はすべてッ…知っているのですか…!!」


「では」という声にアルマロスは身震いする


「貴女には死んでもらは無ければ…!!!」


「っ!!」


拘束され、業火に焼かれながらこちらを向いた魁の肌は黒く染まり影のようなものが体から出ている


紫の瞳は今は紅く爛々と輝き


大きく裂けた口からは白い蒸気が立ち込め涎がポタリポタリと垂れる


いつもの紳士のような面影はどこにもなく怪物と化したソレにアルマロスは恐怖を覚えた


「ひッ…!!」


「どう謝っても…許してなんて差し上げませんよ…」






並盛にアルマロスの悲鳴が響き渡った__














「あ…あの…男は…狂ってる…ッ!!!」


並盛の裏路地に足を引きずる魁に千切られた右腕をかばいながらアルマロスは隠れる


「あの男に…あれほどの力があったとはっ…」


しゃがみ込むアルマロスの足は反対側に曲がっていて折られているようだ


顔面もひどく歪み左目は開かなく鼻血が止まらない


「逃げるのももう限界ですわね…」








「ええ、もう逃げる必要ないですから安心してください」





「う…そ…」





裏路地の暗闇から出てきたのは葵だった



「貴女が噂のアルマロスさんですか」


「何故…ここに…」


「あーあ、随分こっ酷くやられたんですねあの似非紳士に」


「何故だ…ッ!!」


「貴女、まさかアイツから逃げてきたなんて思ってませんよね?」


「ッ!!!」


「奴は一度殺すと決めた獲物は地獄の果てまで追いかけてでも殺す」


「では…何故…!」


「まだ分かりませんか、バトンタッチですよ。僕の記憶なんかも見ちゃいましたよね、貴女。それで魁に殺されたなんて気が済まないんですよね」


「ひっ…」


「でも可哀想に…魁に殺されていた方がまだマシな死に方出来たかも知れなかったのにね」


「や、やめ…て…」


「いやです。貴女にはちゃんと苦しんで死んでもらわないと、ね?」


そういいにっこり笑った葵は銃を構えた__









天使に悪魔の裁きが下るとき






世界滅亡へのカウントダウンが始まる__