二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【REBORN!】†BLACK†第29夜UP ( No.394 )
日時: 2012/11/12 20:01
名前: ちぃ ◆BtgqVElJ1I (ID: z5ML5wzR)
参照: http://x110.peps.jp/kokyon7314/free/?cn

第30夜 【そして奴は居なくなった。】










子供の時によく考えていた


何で私は生まれたんだろうか、と。


周りの自分と同い年位の幼い子供たちが、おそらくお母さんやお父さんに聞いたならきっと「それはね、幸せになる為だよ」と優しい声で言ってくれるのだろう


でも「私たち」は違かった


そんなことを言ってくれる人間、ましてやそんな存在すら居なかった


















そんな私たちが「居場所」を見つけたのが十年前


最初、自分が不老不死なんて信じられなかったしマテリアルなんて存在すら信じがたかった。


ヴィクトリカと契約を結び連れて行かれた場所には私たちと同い年くらいの子供が4人いた


一人は右目を怪我しているのか眼帯をして体中に御札のようなものが張られている。
その男の子はうっすら口元だけ不気味にゆがませ笑っている。


二人目は「無垢」その言葉がまさしく似合うような金髪の女の子。こっちの子はにっこり笑っている


三人目はどこにでも居そうな「平凡」その言葉が似合うような女の子。その子は何故ここにいるのか分かっていないようで戸惑っているような表情を浮かべている。


そして四人目の女の子は笑っていた。が、目が笑っていない。この目は見たことがある。きっとこの子も昔…






そんなことを思っているとヴィクトリカがその4人に紹介し始める


「この者達は新入りの紅と葵だ」


するとあの眼帯の男の子がニヤリと笑って「宜しくお願いしますねぇ」と言った。そしてこう付け足した


「これから悪縁の仲になるのだから」





あの時はよくわからなかったがその通りだと今は思う


それでも悪縁だろうが腐れ縁だろうが居場所ができたことが素直に嬉しかった





だから私は心に誓ったんだ



「この居場所を守り抜こう」



「誰かを守れる程に強くなろう」と



その為には例えどんなに犠牲を払っても厭わないと



















「これから悪縁の仲になるのですから」




それは結びつけば悪いことが分かっているが離れられない関係


















「…さま…ねえさま…」


「う…ん…あお…い…?」


「はい、驚きました…何時もは寝起きが凄くいいから…」


「嗚呼…ちょっと懐かしい夢を見て…」


「?」


ベッドから起き上がる紅を葵が見つめる


「私たちが最初に魁達に会った時の夢…」


「…」


「嫌な予感がするんだ…なあ、葵…魁達は無事か…?」


その言葉に葵は何も言えなくなる


「それが…今魁がどこにいるかわからなくて…」


「…!」


「ヴィクトリカがとりあえず家に帰れというから帰ってきたんですが…」


「そう、か…やっぱり…嫌な予感がしたんだ…」


「ええ、僕もです」と葵がベッドわきに椅子を持ってきて座り続ける


「僕らは一回死んだことによって筋力も視力も聴覚もすべてリミッターが外れた状態ですから、そういう嫌な予感とかも感じ取っちゃうんですよね…」


「そうだな…無事、ならいいんだがな…」


重い空気を破ったのは「ぴんぽーん」というチャイムの音だった


それから下から「葵くーん?紅ー?」


という綱吉の声と


「出てきやがれ!!十代目を遅刻させるきか!!」


という獄寺の叫び声が聞こえた


「…なんでいるんですかね…」


「あ!!」


その葵の発言で思い出した紅


「昨日一緒に明日学校行こうって約束したんだったな…すっかり忘れてた…」


うー、とバツが悪そうな紅の声の後に綱吉と獄寺がドアを開ける


「げ!?お前まだ寝間着かよ!!!」


「不法侵入した上に姉さまの寝間着姿を拝むなんて…」


そういう葵からはどす黒いオーラが出ている


「勝手に入っていいっていうから入ってきちゃったけど…」


「ああ、全然大丈夫だ。むしろ忘れててごめんな…」


「い、いいよ!!遅刻なんて俺しょっちゅうだし!!」


獄寺と葵の火花が散る横でほのぼのと紅と綱吉が会話をしている


だがその状況はすぐに破られた。


一瞬の出来事だった。


気が付けば家はその言葉の通り真っ二つになっていた


左の頬に感じる風に第六感が「危険」だと警笛を鳴らし続ける


この体になってからこんな感覚になることはなかった


殺しても死なないから。


だが今感じているのは紛れもない恐怖で


紅はその恐怖を感じながら左をゆっくりと向いた


目の前に広がったのは白だった


「え…」


正確には全身真っ白の二十代半ばほどであろう男だった


髪は金髪だったが着ているコートは白だ


「お邪魔しまーすっとな。」


よっ、と白い奴は土足で部屋に…もと部屋だった場所に足を踏み入れる


「いきなり悪かったなぁ。こっちも急ぎだったもんでよぉ」


「あ、そうそう。用件だったな。用件っていうのは他でもない、お前らのお友達のなんだがよ。」


こっちの反応も見ずにベラベラ話す相手にハッとした葵が口をはさむ


「ちょっと待ちなさい!!人の家こんなにしておいてお詫びの一つもないんですか!」


「んぁ?だから急いでたっつってんだろーが」


「だろーがってね…」


「葵、こいつ今なんて言った」


紅は一人俯き言う


「何って…」


「お友達…と言わなかったか…」


すると奴は「ふーん…」と笑いながら言った


「言ったけど?」


「それがもし…もしも"魁"だとして…もしも傷つけていたということなんかであれば…」


「あれば…?」


依然として男は笑ったままだ


「私は貴様を許さないッ!!」


「!!」


錯覚だったのだろうか、いや


今確かに紅の怒りの気に押されたのを感じた


だってほら、今俺は確かに恐怖を感じて震えてる


「へー…じゃあ俺ここから無事で帰れないかもなぁー」


「…」


黙って睨みつける紅は鬼の形相だ


こーゆーとこ葵くんと姉弟だなぁと思う


「ふざけてないで説明しろ!!」


「…俺がここに来たのはお前らのお仲間の「魁」ってのが









































死んだって伝えに来ただけなんだがよぉ」






奴は風のようにどこかへ行って





























そして奴は突然僕らの前から居なくなった__