二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【REBORN!】†BLACK†第30夜UP ( No.405 )
日時: 2012/11/24 01:57
名前: ちぃ ◆BtgqVElJ1I (ID: z5ML5wzR)
参照: http://x110.peps.jp/kokyon7314/free/?cn

第31夜 【狂気の檻が外れたら】







口を最初に開いたのは葵くんだった


「何を馬鹿なことを言っているんですか」


「ん?」


葵くんは何をバカバカしいという呆れた顔で言った


だがそれに対してその白い人は言った


「それは・・・俺に殺されたって言っても信じねぇのか?」


「!!・・・お前が殺したのか・・・?」


「さぁな、だが一つ言えるのは奴は死んだってことだなぁ」


紅は俯いて何も言わない


次の瞬間ヒュッという音の後に紅が消えたかと思うと白い人の首を掴み持ち上げていた


あの細い腕のどこに力があるのか腕を上げれるだけあげ見ているこっちからも分かるくらい首を締め上げている


「ッ!」


「なぁ・・・貴様・・・さっき私がなんて言ったか聞いていたよな・・・私は魁を傷つけていたなら許さないといったはずだぞ・・・そんなに早く殺して欲しいなら




















今すぐここで私が殺してやる」


その目はなぜか笑っていて


でもどこか狂気じみていて


嗚呼、紅の外れてはいけない檻が外れてしまったんだと俺はどこかで考えていた


「私は慈悲深いから私は寛大だから私は優しいから私は謹厳実直だから私は完璧だから私は素敵だから私は尊大だから私は美しいから私は魅力的だから私は才能あるから私は公明正大だから私は優秀だから私は天才だから私は神だから。貴様には死に方を選ばせてやる」


ゾクリと悪寒がした


これは葵くんに感じるものでも


魁に感じるものなんかでも


ましてやヴィクトリカに感じるものなんかでもなかった


今紅に相応しい言葉はただ一つ









狂気__


それだけだ


本当は狂気的な性格でそれを隠すための今までの表の紅だったのか


今の俺にはわからない


すると不意に紅を葵くんが優しく後ろから腕を広げ包み込んだ


「姉さま…もう…やめてください…」


その言葉に紅は、はっとしたように手をゆっくり緩めた


白い彼は床に落ちて絞められていた喉元を押さえた


そしてそのまま紅を見上げた


紅もまたその男を見下ろす


暫くの沈黙を破って紅が口を開いた


だがそれは先ほどのように怒りに任せたような


狂気じみていた声ではなくて


泣きそうな、悲しい悲しい切ない声の響きを持っていて


「…魁は…死に方なんか…選べなかった…」と、静かにそう呟いた


紅は男を見下ろしたままだから後ろに居る俺にはどんな表情をしているかは分からなかったけどきっと今にも泣きそうな顔をしているのだろう


「姉さま…」


悲しい空気に包まれる中あの白い男がいう


「まあアイツを殺ったのは俺じゃねぇんだがよ」


「お前じゃないのか…?」


「ああ」


「なら…それなら一体誰に…」


彼女のさみしげな声に男は言う


「強いて言うなら…お前達と自分自身…かね」


「私たち…?お前は一体…」


男は思い出したように言う


「嗚呼、自己紹介まだしてなかったな俺の名前はオデットだ」


「オデット…どこかで聞いたことがあるような名前ですね…」


「あ!」


その時不意に声を出してしまったのは俺自身だった


「どうしたんです十代目?」


「あ、いや…オデットって…この前授業でやった神話に出てきた名前といっしょでつい声が出ちゃっただけなんだけど…」


ごめん!というと男が「嗚呼、そんな風に俺言われてんの?」


といった


「え…?」


「いや、人間も結構迷い込んできたから下の世界に返してやったりしててよ。そっか、そいつらそんな風に俺の事いってたのか」


そう言って男…もといオデットが言った。


「そうそう、自己紹介の途中だったな。俺はオデット。五界の境界の番人だ。」


「え!?ヴィクトリカが今は不在だって言ってた?」


「嗚呼」


「なるほど、どこかで聞いた名前だと思ったら…」


その真っ白な男は笑う


そして「来たようだな」と言った


その刹那俺の背後で声がした


「やはり貴様か、オデット」


は、と聞き覚えのある声に振り向けばそこには咲き乱れる山吹のような光煌く髪が棚引いていた


「ヴィクトリカ!」


まさかの来客に声を上げて驚けばヴィクトリカはニヒルな笑みを浮かべる


「オデット、貴様私用で門を放ったらかしにしておいた挙句に私の下僕を殺しただと?」


「おいおい、ちょっと待てって、突っ込みどころありすぎるだろーよ。」


うん、それにはすごく同感だ。今すぐ激しく首を縦に振りたい。


「どこがだ、言ってみろ」


「まず俺が門を放置プレイしたのは私用じゃねぇよ。門をこじ開けようとした輩がいたもんでちょっとお仕置きしにだな…」


「…相変わらず気持ち悪さは健在のようだな」


うん、それにもすごく同感だ。今すぐ激しく首を縦に振りたい。(健在かは知らないが気持ち悪いことはわかる)


「もう一つ、魁はてめぇの下僕じゃねぇだろ」


その言葉にクスリと笑う


「違うな、こいつらは私の下僕だ」


オデットは目線だけを紅と葵に向ける


二人は反論どころか目を伏せている


「…そうかよ、わかったよ。じゃまあどうでもいい話はそこまでにして、魁の死体は夜には届けっから」


そして「あ!」と思い出したようにオデットが付け足す


「ヴィクトリカ、お前さ。天界の奴に手ぇ出したろ。」


「いや、全部こいつ等だからな」


そういうヴィクトリカは思いっきり目を潤ませ猫かぶりのいいところだ


おまけに手を前で組んで眉を下げる


「それで騙せると思ったのがすげぇよ!」


確かに


「ま、てめぇはよぉ出しちゃいけねぇ相手に手を出したんだ。ちょっとくらい落ち着いてねぇとお前……

















審判に掛けられるぞ?」


「ははは、審判か。上等ではないか。審判というのは何色の血が出るのか楽しみだな」


「…お前も懲りねぇな…」


「なんのことだかさっぱりだな」


「…あっそ」


オデットは呆れてしまったようで「じゃあな」と言い消えた


「審判って…貴女前にも掛けられたことあるんですか?」


「さあな、どうだったかね」


「さあなって…」


そういうと今まで口を閉ざしていた獄寺くんが口を開いた(どうやら驚きすぎてそれどころじゃなかったらしい)


「おい!審判ってなんだよ!」


「うーん、そうですねぇ…強いて言うなら。掛けられたら地獄を永遠に見るって感じですかね」






そう言って葵くんは面白そうにクスクス笑った__