二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ボカロ-Song Story-【リクエスト受付中】 ( No.7 )
日時: 2011/02/12 21:38
名前: みかん ◆2.5icxJI2o (ID: OPVNjM8g)



 一度傷ついて沈み込んだ少女が惹かれたのは、彼女には眩しすぎた一筋の光。

 深海少女は一体、どこまで沈むの———?

 
 【深海少女/初音ミク】


 悲しみの海に沈んだ私、目を開けるのも億劫になる。
 このままどこまでも堕ちて行き、私は誰にも見つけられないのかな。

 不意にそう思った。
 
 一体、どこへ向かい、何をすれば?
 いくら考えても私には到底理解が出来ない…。

 深海にふと射し込む暖かい一筋の光。
 そっと手を伸ばせば届きそうだけど、掴む前に波に拐われて見失ってしまった。


 「あ…—————!」


 あれは一体なんだったのかな、暖かくて眩しかったあれは。
 私は、あれが何なのか知りたい。
 無意識のカウンターイルミネーション、嘘つきは誰———?


 深海少女、まだまだ沈む。
 暗闇の彼方へ深海の奥深くへ閉じこもる。
 また裏切られるという不安を抱えながら。
 
 
 深海少女、だけど知りたい。
 とても暖かい私の“太陽”を見つけたから。
 心惹かれるあの人を見つけたから。


 昼も夜も無かったこの場所、なのに眠れない夜は続く。
 貴方の事を思うと、心が張り裂けそうになる。


 「貴方に…会いたい…」


 眠れない夜は、そうやって自分の顔が火照るのが分かった。
 私が見ていた貴方は自由の羽を大きく広げて、泳ぐ姿は綺麗でした。

 そしてまた光は私に降りそそぐ、それを見とれていたら貴方と目が合った。
 私の視線に気付いてこっちを振り返る貴方に、自分の心に嘘つきな私… 。


 深海少女、わざわざ沈む。
 火照る顔を隠すように沈む。

 暗闇のさなかに何だか妙に光る赤い頬。
 深海少女、ハダカの心を見せる勇気がない。
 

 だって———黒い海がまだ許さないのだから。


 私の服はこんなに汚れてしまった、笑顔も醜く歪んででいくの。
 私には誰にも合わせる顔なんて無いの、もう放っておいてよ!

 声にならない気持ちが、心が、溢れて深海に溶け出す。
 そんな次の瞬間、君が突然姿を消した。

 心配性の私はとても焦る。
 この深い深い闇は彼を隠し、私を一人きりにしてしまうのだから。

 限界少女、その手を思いっきり伸ばす。


 「行かないで……!!」

 「ほらね、君も素敵な色を隠してた」

 
 不意に引っ張られる腕、目の前には愛しの貴方。

 深海に響き、歌う祝福のマリンスノー
 
 深海少女、もっと知りたいと思う。
 
 心惹かれるあの人を、やっと見つけたのだから。


 
 この海を出て、今飛び立つの———貴方と共に。


 *end*