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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼——誠に愛された少女 ( No.1 )
- 日時: 2011/02/12 16:27
- 名前: 鬼憂 (ID: Gz/gGLCR)
——プロローグ。
薄暗い屋敷に一人、女の子は自嘲気味な笑みを浮かべていた。
嗚呼、捨てられたんだ——と絶望して。
親は女の子を捨ててしまっていた。
まだ10、11ほどの幼い女の子を。
「—————いや」
彼女は嫌だと呟いた。
あんな両親のせいで死ぬわけにはいかないんだと。
家の仕来りで、双子の妹のせいで死ぬわけにはいかないんだと。
「ころしてやるっ、……」
ずっとずっと古より絶えぬ鬼の血を誰よりも強く強く引いていた彼女はその赤く鋭い瞳に憎しみを、悲しみを、絶望を、失望を、ただただ募らせた。
ぎりりと爪が肌に食い込もうとも少女はただただ手を握り締めるだけだ。
ついに血が流れ出す。ぽたりと床に赤が落ちる。
「————————————ッッぁああぁぁああぁぁあ!」
少女は———赤い瞳を揺らがせ、全ての感情にのみ込まれ、ただ—…
ただ、叫んだ。
塞がっていく掌の傷にもう一度爪を食い込ませて少女はただ涙でぬれた瞳を閉じる。
もう嫌なんだと。
もうやめて欲しいと。
此処から消えたい、死にたいと。
少女はただそう願った——…。
——————それから、少女の姿は消えた。
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