二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: D.Gray-man -contrast- ( No.13 )
日時: 2011/02/17 20:15
名前: 蛍 ◆LU8WrcLlXI (ID: wJNgr93.)

 2———


 カレンとティナはちょうど朝食を終えたときに任務の知らせを受け教団の室長であるコムイ・リーのいる司令室へ来ていた。

 乱雑に床を埋め尽くす書類、壁一面におさめられた膨大な資料。

 ———こんな様子だと必要なものを探すことも一苦労だろう。

 だからと言ってこの惨事と化した部屋を掃除しようなんてものは現れないであろう。

 いや、現れたとしても一年やそこいらで終わるものではとても無い——それほどに散らかっていた。

 部屋の主——コムイはその部屋のデスクに座っていた。

「おはよう二人とも。さっそく任務に向かってもらうよ」

 黒の教団を束ねるという大層な身分の割りにいつもはおちゃらけた態度をとるマッドサイエンティストかつド級のシスコンという変人であるが、今はその様子はまったく無く真剣な面持ちである。

 室長室にはもう一人カレンには見慣れないエクソシストのコートを着た男の姿があった。デスクの向かいに置かれたソファーで資料に目を通している。

「アーノルドも任務か?」

 その男にティナは親しげに声をかけた。

 屈強な体つきで年は三十近くであろうか。やさしげな眼差しをしているが眉間のしわは刻まれたように深い。

 右手に装着している円形の盾がこの男のエクソシストとしての武器——イノセンスを宿した対アクマ武器であろう。

「ああ、今回の任務はこの三人でらしい」

 男はティナに向かってそう返事をするとカレンのほうに向いた。

「はじめまして。俺はケビン・イエーガー元帥の弟子でアーノルド・ストーンと言う。よろしく」

 そう自己紹介するアーノルドにカレンは一瞬止まる。

「カレン・ブルーナです。こちらこそよろしく」

 すぐにそう言って握手を求めるアーノルドの手を握る。

 コムイが一つ咳払いをする。

「自己紹介はそれくらいで概要を説明するよ」

 西ヨーロッパの地図をおろす。

「スイス東部でイノセンスによるものと思われる奇怪が発見された。しかし、アクマの動向もかなり激しいので調査が難航している」

 世界を滅ぼそうとする人類の大敵——千年伯爵。彼の生み出す殺人兵器AKUMA(アクマ)は常人では傷一つつける事のできない。

 イノセンスのみがアクマを破壊することのできる唯一の武器。数少ないイノセンス、その神に認められし適合者——エクソシスト以外にはアクマは完全無欠の敵となる。

 イノセンスと適合しない探索班——ファインダーではアクマの徘徊する中の探索活動が不可能なのだ。

 コムイが続ける。

「早急に敵を破壊しイノセンスを保護して欲しい」

 カレンとティナにも資料を渡し送り出した。

「詳しくは資料を読んで。それじゃ、いってらっしゃい」