二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: D.Gray-man -contrast- ( No.47 )
日時: 2011/02/22 20:03
名前: 蛍 ◆LU8WrcLlXI (ID: wJNgr93.)

 5———


 カレンたちは雪女が出ると言う山の中腹に来ていた。

 幻夢を見せる雪女。神出鬼没で出現時間も場所もばらばらで闇雲に探すことしかできない。

 ふいに辺りに呪詛を唱えるような声が響く。

「来たか!」

 アーノルドが身構える。

 吹雪で霞む視界の奥に人影が現れた。

 そしてカレンたちに向かい手をかざした。

 すると、とてつもない冷気がカレンたちを襲う。

 ティナがいち早く彼女の対アクマ武器であるレイピアを構える。

「イノセンス発動!」

 ティナのレイピアが淡い光を放つ。

 次の瞬間、雪女の周りが次々と氷に覆い尽くされた。

 向かい来る氷結の波をティナはレイピアで切りつけた。

 氷結の波はティナの手前で遮断され収まった。

「間違いなさそうねあれが……」

 ティナの言葉を遮って馬鹿デカイ声が響いた。

「見いつけたぞ!! あいつがイノセンスか!」

 きつねのような体躯のアクマがギラギラとした目でイノセンスを見つめていた。

 先程倒した球体のレベル1アクマとは違い、目の前にいるのは殺人を重ね進化したレベル2のアクマ。レベル1に比べ格段に強く自我を持ち固有の能力を保有している。

「アクマ! まだ残っていたのか」

 アーノルドが叫んだ。

 アクマはこちらを気にもせず雪女に向かって突っ込んでゆく。

「イノセンスーーーー!!」

 雪女はゆっくりとした動作でアクマに向かい手をかざしあっという間にアクマを凍らせた。氷漬けにされたアクマはその場でぴたりと動きを止めた。

 そして雪女はまたゆっくりとカレンたちのほうを向いた。

 カレンたちは目配せをしてそれぞれ飛び退いた。

 一瞬遅れて今までカレンたちのいた場所が氷漬けになった。

「やめろ! 俺たちは敵じゃない!」

 アーノルドは必死に叫ぶが雪女はまったく意に介していない様子であった。もしかしたら聞こえてもいないのではないだろうか。

 確認したいが不用意には近づくこともできない。

 ———彼女は、生きた人間なのだろうか?