二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: D.Gray-man -contrast- ( No.60 )
日時: 2011/02/26 15:06
名前: 蛍 ◆LU8WrcLlXI (ID: wJNgr93.)

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 一方、氷壁の反対側ではカレンとティナが雪女と対峙していた。

 あたり一面はもう雪山ではなく氷の世界と化していた。

 ———雪女というよりも氷女だな。

 場を氷に変えることによるものか雪女の攻撃のスピードも格段に上がっていた。

 このままでは手も足も出ない。

 ティナも先程からアーノルドを心配している様子でいつもより若干の鈍さを見せていた。

 今は襲い来る氷結の波を避けることに集中する。

 雪女が攻撃するたびにいっそう気温が下がっていく。

 もうあたりに氷の無い場所がなくなっていた。

 すると、雪女は両手を前にかざしだした。再び唱えだされた呪詛のような言葉。

 ———何をする気だ?

 氷が一瞬虹色に光った気がした。

 ———!!

 カレンの頭の中に嫌なヴィジョンが一瞬走った。

 ———あれはわたしの……。

 これが報告書にあった幻夢だろうか。

「カレン!」

 ティナが激しく叫ぶ。

 カレンが振り向くとティナが雪女を斬りつけていた。

 ティナにも幻夢が襲ったのだろうか。心配そうにカレンに駆け寄る。

「大丈夫……」

 カレンはティナにそう告げたが、カレンはティナが自分を心配しているのが痛いほど分かった。

 カレンには暗い過去がある。ティナはそれを分かっている。カレンには雪女は酷過ぎる敵だ。

 ティナに切り付けられ怯んだ雪女であったが再び声を発する。

 今度は逃がさない。そんな言葉が聞こえたような気がした。

 視界に映る場景が変わる。


 ————— アイツらはおまえのイノセンスに引き寄せられて来たのだ —————