二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: D.Gray-man -contrast- ( No.97 )
日時: 2011/08/23 14:36
名前: 蛍 ◆LU8WrcLlXI (ID: bVlGyEWK)

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 山の冷気が和らいだのをアーノルドたちも感じていた。

「カレンがやってくれたみたいね」

 アクマと対向していたティナが微笑みながら言う。

「ああ、俺たちも負けてられないな」

 アーノルドも火の玉をかわしながらそれに答えた。

「イノセンスを獲られたか。ふんっ、これ以上戦っても俺に勝ち目はねえが引くわけにもいかねえ」

 アクマは一気に全身の毛を奮い立たせた。

 素早いアクマの動きにティナは何とかついていく。

 ティナへの攻撃を外したアクマの隙をつきアーノルドが盾で叩きつけふっとばす。

 着地したところを待ち構えていたティナが斬りつける。

 ティナが来て戦いがかなり楽になった。いや、来なかったら負けていたかもしれない。

 そして何より心強い。

 アーノルドは鎖を伸ばし周囲にいた火の玉を牽制するように一回転させた。

「第二開放 摩天楼!!」

 ティナの攻撃がアクマを襲う。

 続けてアーノルドが鎖を伸ばしアクマを巻きつけ捕らえる。

「クエイクインパクト!!」

 盾が振動し衝撃を生む。その衝撃が爆発的に増大しアクマを襲った。

 アクマは最後に断末魔を上げ消滅していった。


「だいぶやられちまったな。情けない」

 アーノルドは自分の身を確かめそう言った。

「でも、本当に無事で何よりよ」

 アーノルドはただ礼だけ言ってお前ののおかげだと言う言葉はしまっておくことにした。

「ティナ! アーノルドさん!」

 カレンが山の上のほうから駆け下りてくる。その手にはイノセンスが握られていた。

 カレンの表情は晴れ晴れとしていた。

 それを見てティナはわずかに微笑んだ。


 ——— to be continued



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 列車の中のとある個室、ローズクロスの紋章を付けた黒の教団の三人のエクソシストが任務を終え本部への道についていた。

 女性エクソシスト二名は楽しげに会話をしており、男性エクソシストは窓枠にひじをつき眠っているようだ。

 廊下でその様子を伺っていた中年の男は薄い笑いを浮かべながら隣の個室に入っていった。

「あいつらか?」

 妙に抑揚をつけた喋り方で男は部屋の中にいた者に話しかけた。

 目深にフードを被りその顔を確認することはできない。

「ああ、あの力を我に統合することができれば、世界は我が物に……」

 その言葉に男は白髪交じりのオールバックの髪をかきあげながら楽しそうな笑みを浮かべた。

「面白いことになりそうじゃないか」

 つかの間の穏やかな時間を過ごす神の使途のすぐ隣では、すでに新たな物語が動き始めていた。


 新たな目覚めと共に———。