二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 〜恋雨録〜 ( No.14 )
日時: 2011/02/20 14:31
名前: うい ◆U2fwXad6qI (ID: VxqablIi)



>>12


想いを告げて数日
俺は彼女に惑わされる日々を送っていた
困った顔 起こった顔
沈んだ顔 すねた顔
微笑み 満面の笑顔

いろいろな彼女を見て
そうさせている俺がいること
彼女のその多々ある表情は
俺がそうさせているという事実
俺には十分すぎるほどの自信がついた



ある日の朝
朝餉のため広間に集まっていた
みな揃い、あとは雪村だけというとき


「千鶴おっそいな〜」

「あいつが寝坊なんてめずらしいな」


平助の言葉に佐之が答える
確かに
ここに来て初めてではないだろうか
少し心配になってきた


「しょうがない奴だなぁ。
おい、誰か起こして来い」

「えー、土方さんが行けばいいじゃないですか」

「なんだと?」


副長と総司は何やら言い合っているようだが
俺は佐之に見てくるといって
広間を出た


外はとても寒く
雪が積もっていた
雪村の部屋に行く途中
なんだか庭の方に見覚えのあるものが見えた

あれは……雪うさぎ?
それも雪が積もってないのを見ると
昨晩か

まさか……

俺は雪村の部屋に急いだ



「雪村、入るぞ」


返事を待たず部屋に入る
すると彼女はすやすやと寝息を立てて寝ていた
俺は少し安堵したが
彼女の表情が少し辛そうに見えた
額にはうっすら汗が出ていた

やっぱり
予想は的中した


「雪村、雪村」


とりあえず起こそうと声をかける
彼女はゆっくりと目を開き
あたりを見渡していた


「雪村、起きたか」

「斎藤、さん?
なぜここに?」

「お前が起きてこないから
心配してきたのだが……」

「顔が赤いな」


彼女の体を支えながら起こすと
体もやや熱を持っているようだった
彼女の目は潤んでおり
呼吸も荒い


「風邪、だな」


まったく
あれほど言ったのに

俺は呆れてため息をつく
雪村の表情が少し曇った


「大丈夫か?」

「はい、大丈夫です」

「今副長たちに報告してくる。
飲み物と薬をもってくるから
少し待っていろ」

「は、い……」


俺は雪村を寝かせ
広間に戻った

広間ではみなすでに朝餉に手をつけていた
俺は副長に報告すると
薬を受け取り
雪村の看病を言いつけられた

というか
申し出たのだが


再び雪村の部屋に戻ると
彼女は苦しそうに笑顔を作る


「申し訳ありません。
ご迷惑おかけしてしまって」

「そう思うならもうするな」


俺は持ってきた薬を渡し
茶をいれる


「お前はなぜ
いつも夜に外に出るんだ。
前に風邪を引くからやめろと言っただろう」

「すいません。
つい……」


しょんぼりする彼女は
いつもの雰囲気とは違っていた
熱のせいだろうか
体が上気し頬を紅くし
目をうるませた彼女は
いつもと違う魅力があった


「もう夜に外にでるな」

「……」


返事をしないまま下を見ている


「雪村」

「だって……」


雪村を俺を見て
言う


「だって夜の外は……」




−続く