二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 〜恋雨録〜 ( No.22 )
日時: 2011/03/04 00:33
名前: うい ◆U2fwXad6qI (ID: 04PJI6mD)


>>21


しばらくして庭からは楽しそうな声が聞こえてきた
それと同時に
副長が広間にやってきた


「お、斎藤だけか」

「はい、どうかしましたか」

「いや。あいつに茶でも頼もうと思ったんだが…
なんだか外で騒いでるみてぇだな」


呆れたように笑いながら
副長はいつものご自分の席へ


「雪村の茶でしたら
本人が外に居ます故
頼んでみてはいかがかと」

「いや、あいつら楽しそうにしてるみてぇだし
水を差しちゃ悪いだろう」


そういって
副長はじっと俺の顔を見てくる

いくら俺でも
やはり副長の気迫というか
そういったものには冷静ではいられない
怖い、と思ったことがないと言えば嘘になる

俺は何かしてしまっただろうか


「あの、副長」

「なんだ」

「何か顔についてますか」

「いや、何も」

「でしたらなぜそんなに……」


副長は先ほどよりさらに
厳しい顔で


「お前も
苦労してるんだよなと思ってよ」

「は?」


突然で驚く
何かあったわけでもないのに
急にそう悟られてしまっては…


「あいつは鈍感だからな
お前も苦労するだろうよ」


副長の顔はなんだか呆れながらも
少し楽しそうな顔になり
俺はなんだか恥ずかしくなる


「やはり、気づいてましたか///」

「気づかねぇほうがかしいだろ。
斉藤の雰囲気も大分変わったぞ」

「そうでしょうか……」

「ああ。
まぁ苦労はしてるみたいだがな」


そこまで俺はわかりやすいのだろうか
いや
雪村に惑わされてしまっている今の俺に
己を隠すなどは難しい


「先日
雪村が風邪の時に副長に頂いた石田散薬を渡した際
これは何かと尋ねられたので
副長の話をしましたところ……」

「ところ?」

「妬かれました///」


自然と体が熱くなる
副長の唖然とした表情を見るのは久しぶりだ
そしてしばらくの沈黙の後


「は?」


意味がわからないと言いたげな問い方
しかしこれは真実をそのまま話しただけで


「ですから
雪村に俺が副長の話をしていたら
うらやましいと言われ
妬いたとも言われました」

「あいつは
俺に
妬いたのか……」

「はい」


副長は呆れたように
馬鹿だな
と一言
そして


「お前に守るものが他に出来たなら
俺はそれで構わねぇと思ってる。
自分の守りたいものを守ればいい。
俺が新選組を守りたいように
斉藤もあいつを…な」

「…はい」


まさか副長にそんなことを言われるとは
予想にもしていなかった
だがなんだかうれしい
副長にとっての新選組と
俺にとっての雪村を
同じくらい大切だと認めてくれているようで



−続く