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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 〜恋雨録〜 ( No.28 )
- 日時: 2011/03/27 22:31
- 名前: うい ◆U2fwXad6qI (ID: pqtrX.PI)
『想い人 side山崎』
「よろしくお願いします」
俺の前には一人の少年のような少女
その瞳は力強く
己を持った目だった
しかしその瞳には不安が見え隠れしており
俺はそれを見落とさなかった
新選組が彼女を守ると決めた以上
俺は彼女を守る義務がある
たとえ己の命が果てようとも…
しかし俺には納得できなかった
己の命を賭けてまで守るべき人間には見えなかったからだ
土方副長の命に背くつもりはない
だがどうしても納得が出来なかった
「山崎さん」
「雪村君、どうした」
春の暖かい日差しがさす日のことだ
その日は非番で、松本先生のところに行こうとしていたとき
門のところで声をかけられた
「あの、松本先生のところへ行くんですよね?」
「ああ、そうだが」
「私もご一緒していいですか?」
俺の様子を伺うように聞いてくる
彼女のことは別に嫌いではない
だがあまり一緒にいたくはなかった
「俺に決定権はない。土方副長に聞いてくれないか」
「土方さんは、勝手にしろと…」
参ったな
今度は拒否権がなくなってしまった
仕方がないか
「では来てもいいが。
勝手な行動は慎んでくれ」
「はい!」
そう返事する彼女の笑顔は
俺の中のなにかをぞわぞわさせた
彼女と歩く京の街は初めてで
彼女も春の京を楽しんでいるようだった
「雪村君、君は松本先生に何か用でもあるのか?」
「あ、はい。ちょっと沖田さんのことで…」
「沖田さん?」
まただ
またぞわぞわとしてきた
「はい。
できれば沖田さんには元気がでるものを
食していただきたいので…。
なにかいい方法はないかと思って。
あと父様のことを少し」
「そうか」
俺の中のなにかが動き出して
それはなかなか止まらなかった
そのときの俺は
まだ自分がなんなのか気づいてはいなかった
−続き
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