二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 〜恋雨録〜 ( No.3 )
日時: 2011/02/17 14:40
名前: うい ◆U2fwXad6qI (ID: VxqablIi)

>>2


僕は昼も夜も巡察に行けない日々が続いた
土方さんが外に出してくれないんだ
たまに一君や新八さん辺りが隊服に血をつけて帰ってくる
僕はそのたびに胸が締め付けられて
すごくもどかしい


今日も部屋の布団の中
つまらない 退屈
外にでて刀振るいたい
僕はその衝動を抑えるかのように
自分の刀の手入れを始める


君は一体 
何人の血を吸ってきたの?

そんなこと聞いたところ
僕自身の記憶でさえもそれはわからない
いちいち斬った奴の顔や名前は
覚えてられないから


「総司、起きてるか」

「!!近藤さん!」


襖が開き、近藤さんが入ってきた
僕が少しうれしくなった
僕は近藤さんの、特別だから


「具合の方はどうだ?何か不便はないか?」

「体調は全然大丈夫です。たまに咳が出るくらいで……。
でも!問題はありません」

「そうか、それはよかった。
すまないなぁ。なんだか監禁しているようになってしまって」

「いえ、でも……。僕も新選組の力になりたいです」


僕は近藤さんに、巡察に出してもらえないかと頼んでみる
しかし答えは決まっている


「すまないな。出してやりたいんだが、歳がな」


土方さんが僕を邪魔する
いつだってそうだ
僕を邪魔者扱いする


「僕は、まだ戦えます」

「わかっているさ。総司の剣の腕は確かだし、少しの体調不良くらいじゃ負けないことも」

「だったら!!」

「しかしな。ちょっとじゃないから、駄目なんだよ」


労咳じゃなくて
ただの風邪だったら
僕はまだ戦えるのに

近藤さんが僕を心配してるのはわかる
もちろん土方さんだって
僕のことを思って巡察に出さないのも知ってる
でもやっぱり僕は
剣に縋るしかないんだ


「失礼します」


襖が開き、千鶴ちゃんが入ってきた


「おや、雪村君」

「あ、近藤さんもいらしたんですね。もう一つお茶持ってきますね」

「いや、そろそろ出るから。
じゃあ総司、また何かあったら呼びなさい」

「……」


僕は答えなかった
近藤さんが困った表情で出て行く
部屋の中はすごく静かになった


「沖田さん、お茶入れますね」


黙ってお茶を入れてくれる
僕に気を使ってるの?
すごくむかつくよね


「君はさ。いつだって土足で僕の中に入ってくるよね」


突然だった
なんだか彼女を見てると
ぜんぶ言ってやりたくなる


「僕はまだ戦えるのに!まだ刀はここにあって、魂もあるのに!!
僕は足手まといなんかじゃない!
これじゃ…新選組にいる資格がないじゃないか!!
君は新選組でもないくせに巡察に同行して
みんなと楽しそうに笑って
僕より全然弱くて守ってもらわなきゃ生きれないくせに
なんで君のほうが新選組らしいんだ!!!
僕は新選組一番隊組長、沖田総司なんだぞ!!!」


言い終わったあと、僕は息を切らしていた
久しぶりにこんなに叫んだ
僕の中のものが一気に出た気分だ



−続く