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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 〜恋雨録〜 ( No.31 )
- 日時: 2011/06/20 00:21
- 名前: うい ◆U2fwXad6qI (ID: xGUcEr0G)
>>30
雪村君の沖田さんに対しての必死な姿
別に彼女が何をしていようと
誰のためにやっていようと
俺には何の関係もない
なのに、
なぜ
「先生、お願いします。
沖田さんのためにできることをしたいんです」
そう
俺には関係ない
「千鶴さん。
君は、彼のためになることをしたいというなら何もしないほうが良い」
「どうしてですか!?」
「彼はね。武士なのだよ」
「え……」
「彼は、武士だ。己の道を進み、そして終わらせる。
彼は自分の生涯に悔いを残したくないのだ。
たとえば、彼の療養中に近藤さんが刺されたとしよう。
彼は自分さえ病気じゃなければ助けられたのにと悔いるだろう。
私は医者で、人の病気を治すことしかできない。
人の生きる道まで口を出せはしないのだよ」
「でも、それじゃ沖田さんが!!」
「それもまた彼の道。
彼は病で死ぬことよりも、悔いて死ぬことの方が悔しいのだよ。
そういう男もいるし、そういう生涯もありだ。
わかってやっておくれ、千鶴さん」
そう言った先生の顔は優しく
雪村君もそれ以上言わなかった
そして俺たちは診療所を出て
屯所に戻っていた
そのときの彼女はずっと下を向いたまま
元気がなかった
「まだ、納得してないのか」
「え?……はい」
「もう気にする必要はない。先生もおっしゃっていただろう」
「でも私、どうしても沖田さんには病気を治して
安静にしていてほしいんです。
無茶ばかりした姿を見てると悲しくなりますし
近藤さんや土方さんもみなさん心配されてます」
とかいいつつ
一番心配しているのは君だろ?
「では、君が死ぬより辛いことってなんだ」
「私ですか?」
「ああ、あるだろ?
死ぬことよりも嫌なこと」
「私は……自分を失くすことです」
「自分?」
−続く
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