二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 〜恋雨録〜 ( No.6 )
- 日時: 2011/02/18 02:36
- 名前: うい ◆U2fwXad6qI (ID: VxqablIi)
>>3
言い終わった後
ハッとなり彼女に目をやる
すると彼女の目には
うるっとしたものが溜まっていた
「な、んで……」
なんで君が泣くんだ
泣きたいくらい悔しいのは僕なのに
なんで、なんて
答えは決まっているのに問いてしまう
僕の言葉に傷付いたから
それ以外なにがあるんだよ
だから女の子は嫌なんだ
弱くて 脆くて
すぐ泣く
守ってもらわなきゃ生きていけない
めんどくさくて
嫌いだ
「もう出っててくれないかな。
お茶はいらないから」
僕はふとんに潜りこみ
彼女に背を向ける
今は彼女の顔も
気配すら感じたくない
だけど一向に彼女は出て行こうとしない
それどころかピクリとも動こうとしない
なんで?
僕は彼女に目をやると
目に溜まっていた涙は
スーッと頬を流れていた
彼女の目には僕の顔が映っている
「なんで、なんでなの」
なんなんだろ
胸のあたりがギュッとする
「君が泣くことなんてないだろ!!
辛いのは僕なんだよ!?
君はただ毎日お茶入れて
のほほんとしてればいいんだからいいじゃないか!!!
僕は、僕は戦えなきゃ
ここにいる資格がないんだよ!?」
僕は勢いで立ち上がって怒鳴っていた
彼女を見下ろす
すると彼女はなぜか
フッと笑顔になった
「なんで、笑うの?何かおかしかったかな?」
苛立ちと胸の辺りの気持ち悪さで
棘のある言葉しか出てこない
「沖田さん」
すると君は僕の手をとり
「ありがとうございます」
お礼を言った
その後君は僕の手を引っ張って
布団の上に座らせる
手を強く握ってくれてる
「やっと、やっと本音を言ってくださいましたね」
君はまた笑った
泣いてるのに
笑ってる
「知っていました。
沖田さんが苦しんでいるのも
今の状況を悔しがっているのも
みなさんと一緒にいれないことに寂しがっているのも。
でも私には想像することしか出来ませんから
沖田さんの辛さを全部知ることは出来ません。
だからいつか沖田さんが弱音を吐いてくれたとき
全部聞こうって決めていたんです。
でも沖田さんはいつも大丈夫、とだけしか言わないし
話を逸らされてしまうので……。
やっとおっしゃってくれて嬉しいんです。
私のことをいくら言ってくださっても構いません。
沖田さんがそれで胸の中の重りを軽くされるなら
私はすべてを受け入れます」
よく言うよ
泣いてるくせに
君はそう言って
さっきよりも強く僕の手を握った
また優しい笑顔で受け止めてくれる
君は僕の
心を見てくれる
「千鶴ちゃん」
「はい」
「ごめんね」
「いいえ」
そうして僕も
彼女の手を握り返した
いつのまにか僕の胸の重みも気持ち悪さも消え
なぜかあったかくて優しい気持ちになっていた
「また、話を聞いてくれる?」
「はい。いくらでも」
「また傷つけるかもしれないよ?」
「傷付きませんよ」
「なんで?」
「沖田さんですもの」
ああ
君は本当に変わってる
僕はその日
いつもよりも早く床に着いた。
−続く