二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 〜恋雨録〜 ( No.7 )
- 日時: 2011/02/18 03:49
- 名前: うい ◆U2fwXad6qI (ID: VxqablIi)
>>6
「沖田さんですもの」
そう言った君の顔は
なんだか照れくさそうに
そして優しい顔をしていた
あの時僕は
君の気持ちを知れたみたいで
嬉しくなった
こんな僕でも
必要としてくれる人がいるんだから
なのに
「おい、千鶴。
茶を頼めるか」
「はい、すぐお持ちしますね」
彼女は広間を出て行った
今日は広間で巡察の報告会
僕は言ってないけど
近藤さんが呼んでくれたんだ
だからここにいるわけだけど……
なんなの、あれ
まるで彼女が土方さんの小姓みたいに
お茶を入れてるなんて
確かに彼女は土方さんの小姓だけど
あんな笑顔でいなくたっていいだろ
僕の前では泣いてばっかのくせに
どうにも納得いかない
「最近は不逞浪士の数を減ってきたみたいだな。
だがまだ薩長の奴らは身を潜めてるだろうよ」
「池田屋事件の後から新選組の名が挙がったからな。
この羽織を見て悪さしようなんざ考える馬鹿は
さすがにいねぇだろうが……。
やっぱ薩長も慎重になってきてるんだろう」
「やっぱここは一日休養とか考えて
みんなの体力を蓄えてもしもの時に備えた方がいいんじゃねぇか?」
「新八、そりゃお前が休みてぇだけだろ」
「だって佐之!俺ら最近休みなしだろ!?
少しは一日寝てたい日もあるだろうが!」
さっきまでの真面目な話から
新八さんの馬鹿ばかしい話になってしまった
土方さんは何も言わず呆れてるし
佐之さんは新八さんをなだめるのに大変そう
「土方さん、お待たせしました」
「ああ、悪いな」
彼女は土方さんの隣、か
気に食わないよね
「ねー土方さん」
「なんだ、総司」
僕はもう
止まらないよ
「僕を巡察に出してくださいよ」
「あほか。お前を出せるわけねぇだろうが」
「だって、僕元気ですよ?咳しか出ませんし」
「その咳が問題なんだろうが。
いきなり何言いやがる」
「そうですよ、沖田さん。ちゃんと寝ていないと」
君は土方さんの肩を持つの?
僕の味方はしてくれないの?
いらいらする
「千鶴ちゃんは僕の味方になってくれないの?」
「え、あの……」
僕は彼女を睨む
まるで蛇に睨まれた蛙みたいに
おどおど
言い返せないみたい
「お前な、千鶴はお前の体を心配して言ってんじゃねぇか」
そこで土方さんが入っちゃ
僕の苛立ちも限界を超えるよ
「ふーん。
心配、してくれてるんだ。
同情じゃないよね?」
「え?」
僕は彼女に冷たい視線を送ると
広間から出た
同情なんていらない
なんで違うって
はっきり言ってくれないの?
君なら言ってくれると思ったのに
この前の千鶴ちゃんの言葉
思い出すだけで今は心が軋む
『すべてを受け止めます』
だったら言葉通り
僕の言葉の全部を受け止めてよ
僕の心を読んでよ
どうして僕は
君にはいじわるしちゃうんだろうね
ひどいことばかり言っちゃうよね
でも君にしか言わないって
気づいてくれないかな
僕は自分の部屋に戻り
襖を閉じた
−続く